緊急時にのみ使用される遺言書の方式もあります。遺言書としては一般的ではありませんが、危急時遺言という方式です。 ※一般臨終遺言、死亡危急者遺言とも言います。
余命が幾ばくも無い方や、病気や事故などで緊急事態となり、すぐに遺言書を作成しないと遺言者の生命が失われてしまう場合に、緊急事態に使われる遺言書の形式となります。
この危急時遺言はほとんど使用事例が無いようで、家裁の方としても非常に珍しい案件として慎重に取り扱う状況です。
危急時遺言は増えていく事が予想されます
昨今、遺言書が無いために親族間でトラブルになってしまったり、相続が進まない不動産が出来てしまったり、相続に絡んだ問題が後を経たない状況なので、今後この危急時遺言は増えていくものと思います。 こうした中で、遺言書の重要性が少しずつ浸透していますので、生命の危機に迫った方が病院のベットに伏している中で、万一の時のために遺言書を残したいという話も少なからず増えていくのではないでしょうか。
県内でも実績があるのは1~2事務所のみ
実際に、県内の法律家としてはトップクラスの実績をもって遺言書作成のお手伝いを担当している私たちでも、危急時遺言のお手伝いは数件のみですので、遺言書作成自体が年間で1~2件の事務所では、対応が困難なものです。
急いで作成したものに誤りがあると遺言書自体が無効になってしまいます。急を要する場合でも、遺言書作成は間違いがあってはいけないのです。もし、危急時遺言をご検討の場合は、当プラザにご相談ください。きちんと対応させていただきます。
危急時遺言は、簡単なお手伝いではありません。
- 民法にしたがって適法に作成する必要があり、もし間違えてしまうと無効となってしまいます。過去に実績がある私どもも、細心の注意を払って担当いたします。
- 利害関係者ではない3名の証人を集める必要があります。 親族など、身内の方が証人になることは出来ません。
- 最後の声をきちんと汲んで、法的な文章としてまとめる作業は非常に難解です。 限られた時間の中で、早急に内容の確認と取りまとめを行います。
- もっとも難しい点は、”遺言者の最後と向き合う”ということです。 ここが一番、担当する側として胸が苦しいところです。
このように、危急時遺言は非常に高度な知識と経験が必要なお手伝いとなります。 この手続きの流れを下記にてご案内させていただきます。
危急時遺言の手続きの流れ
相続相談プラザでのお手伝いの流れをご説明いたします。
1.遺言者のもとに訪問
- 遺言者のもとに訪問する前に、ご身内の方や遺言者の方と話をされている方がきちんと 段取りをしておいてもらえるとスムーズに進める事ができます。
2.遺言者から遺言の内容を確認
- 遺言者の意向をもとに、さっそく内容を書面にまとめていきます。
- この際に、遺言者の意図を曲げずに、かつスムーズに遺言が実現できるように最善の記載 内容を選択していきます。財産が特定できる情報が多ければ多いほど、スムーズに実現する事が可能な遺言書の作成ができます。
3.作成した遺言書の内容を遺言者にお見せし、口述でも内容を伝える
- この際に、証人である3人もこの様子を確認し、遺言者の話す趣旨が間違いなく遺言書に反映されているか、遺言者が内容を理解し、同意しているかを確認します。
4.遺言書の内容を確認したうえ、証人の3人の自署にて、住所・氏名の記載、押印
- この際に、証人の3人は遺言者と利害関係の無いものである事が必要ですので、配偶者や子供などは証人になることは出来ません。
5.家庭裁判所へ危急時遺言を申述
- 遺言書を作成した日から20日以内に、証人のうちの1人または利害関係者から、 家庭裁判所に遺言書を提出し、内容や方式に不備の無いことの確認を得る必要があります。
- 家庭裁判所による確認には、これまでの経験から1~2カ月前後ほど時間が掛かるようです。 この確認が出来た旨の通知が家庭裁判所から通知を得た事を通じて、危急時遺言の作成が 完成となります。
※危急時遺言は、あくまで緊急時の一時的な遺言になります。遺言者の容体が落ち着いて、 体調が回復するなどして、通常に遺言書を作成できる状態になった場合には、この状況となってから(体調が回復してから)、6ヶ月間経過した場合には無効となります。 民法では遺言書が書ける状況となって6ヶ月生存していた場合とされています。(民法983条)
危急時遺言は、緊急の状況の中での対応となりますので、通常以上に丁寧に対応させていただきます。まずは早急にお問い合わせください。