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遺言の効力について

財産/法律

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遺言書が無効となる場合

遺言書の作成は、民法に規定されたルールに従う必要があります。

無料で気軽に作成でき、一番多く利用される自筆証書遺言であっても、民法に規定されたルールに従って作成されていない場合は無効となります。作成方法、保管等のルールについて、2018年7月に法改正がされました。自筆証書による遺言をお考えの方は、現行のルールと変更後のルール、施行時期をしっかり理解した上で、遺言書を作成するようにしましょう。

法的拘束力を持つ遺言内容「法定遺言事項」

遺言書には、どんな事を書いてもかまいません。しかし、法的に効力のある内容として認められる部分は、民法上に定めがある内容に限定されています。民法上で限定された法的拘束力を持つ遺言内容を「法定遺言事項」といいます。

例としては次のようなものです。

相続人の廃除

相続人となる予定の者について、法定の排除事由が認められ、相続をさせたくないという場合は、遺言書によって相続権を消失させることができます。なお、遺言書によって相続人の廃除をする場合は遺言執行者がその手続きを行う必要があります。

遺産分割方法の指定又は指定の委託

相続財産をどのように分割するかを指定することができます。また、遺産分割方法を決めることを第三者に委託することも可能です。

遺産分割の禁止

土地の分割など経済的な価値に影響があり、すぐに分割が不可能な財産について「5年以内に限り」分割を禁止することができます。

財産処分の方法

相続財産は原則として法定相続人に相続されますが、相続人以外の第三者や団体に財産を譲ること(遺贈)もできます。財産を寄付する、財団法人を設立するなどの寄付行為も可能です。

非嫡出子の認知

非嫡出子は認知することにより嫡出子の身分を取得できます。この認知は遺言ですることができます。

胎児を認知することも、可能です。

未成年後見人の指定、未成年後見監督人の指定

遺言者の子が未成年の場合は、その子の生活や財産管理を委託する後見人(未成年後見人)の指定が可能です。さらに未成年後見人を監督する未成年後見監督人を指定することもできます。

相続人の担保責任

遺産分割後、財産に過不足や瑕疵があった場合、不公平を避けるため各相続人は相続分に比例してお互いの担保責任の減免、過重が義務付けられていますが、遺言書により違う担保責任の方法を指定することができます。

遺言執行者の指定又は指定の委託

遺言の内容を実行させるための遺言執行者を指定しておくことができます。さらに第三者に指定を委託することも可能です。

遺贈の減殺方法の指定

相続人のもつ遺留分については、遺言書でも侵害できません。しかし、法定相続人が遺言書によって侵害された遺留分を、請求する(遺留分滅殺請求)さいに、どの財産から減殺していくのか、順番や割合を指定できます。

以上の法定遺言事項に含まれない遺言書は法的拘束力のない遺言事項となります。

例えば、「葬儀は身内だけで行って欲しい」「年に一回は墓参りに来るように」といった遺言書は、法的拘束力がないものですので、仮に遺言に従わなかったとしても、裁判所はそれらの遺言書の内容を強制させることはできません。

遺言書の効力

最後に、遺言書の内容が法定遺言事項であり、形式的にも有効である場合の遺言書の効力について説明いたします。

遺言書は、原則として遺言者の死亡時から効力が発生します。例外として、遺言書に停止条件が付されている場合は、条件が成就した時から遺言書の効力が発生します。

遺言書の効力が発生する前に受遺者が死亡していた場合は、遺言書の効力は発生しません、また、受遺者の相続人が新たな受遺者になることはありません。

この場合は、効力の発生しない遺贈の対象物は法定相続人が相続することになります。

遺贈された財産の移転時期は、遺言書の効力発生と同時に移転します。相続人の一人に相続させるという内容の遺言書の場合も同様に当該相続人に権利移転の効力が発生します。

遺言書と異なる内容の遺産分割をすることも可能ですが、そのためには、遺言書の利害関係人全員(相続人と受遺者)の同意が必要です。但し、遺言書で遺産分割が禁止されている場合、指定された遺言執行者の同意が得られない場合は、遺言の内容と異なる遺産分割は認められません。

 

ここまで、遺言書の効力について基本的事項を説明してきましたが、ご不明な点がある場合には専門家に直接ご相談するのがよいでしょう。

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