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一日葬とは?メリット・デメリット、家族葬との違いを詳しく解説

葬祭

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「一日葬」とはお通夜をせず、告別式と火葬を一日で執り行う形式の葬儀です。「二日葬(一般葬)」や「家族葬」と比べて時間が短縮されているため、遺族の負担を軽減できるなどの特長があります。

大正大学地域構想研究所・BSR推進センターの「寺院における新型コロナウイルスによる影響とその対応に関する調査」によると、葬儀についての変化に関して、8割以上が「会葬者の人数が減った」、4割が「一日葬など葬儀の簡素化」と回答しています。

このように、葬儀に対する価値観の変化や高齢化を背景に二日葬(一般葬)は減少傾向にあり、一日葬が増加している状況です。そして昨今のコロナ禍をきっかけに、一日葬の需要はさらに高まっています。

この記事では、いま需要が高まっている一日葬のメリットやデメリット、家族葬との違い、費用の目安、一日葬の流れなどを詳しく解説するのでぜひご参考ください。

出典:「寺院における新型コロナウイルスによる影響とその対応に関する調査」結果報告|大正大学地域構想研究所・BSR推進センター

一日葬とは、お通夜を執り行わない葬儀のこと

日本人にとって昔から馴染み深い葬儀の形式は、初日にお通夜、二日目に告別式、火葬を執り行う二日葬(一般葬)ではないでしょうか。遺族や親族、友人、知人、近所の方など、30〜70人程度が参列するのが一般的です。

一方で一日葬はお通夜を執り行わず、告別式・火葬のみ執り行います。お通夜がない分、基本的に二日葬(一般葬)よりも参列者は少なくなります。

一日葬よりシンプルな葬儀として、お通夜だけでなく告別式も行わず、直接火葬場で火葬・収骨を行う「火葬式(直葬)」があります。また、一日葬と混同されやすいものに「家族葬」があります。

「家族葬」との違いは?

家族葬と一日葬では「お通夜」と「参列者」に違いがあります。

家族葬にはお通夜があり、二日かけて葬儀が執り行われますが、一日葬にはお通夜がありませんまた、家族葬の参列者は遺族、親族、親しい知人などに限られますが、一日葬の参列者は特に限定されていません。

なお、家族葬は一日葬や二日葬(一般葬)と異なり、遺族や親族、親交の深い友人で執り行われるため、参列者をおもてなしする喪主、遺族の方の負担が少なく、故人とゆっくりお別れできるメリットがあります

では、一日葬にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

一日葬の4つのメリット

一日葬の主なメリットとして「遺族の負担軽減」「参列者の宿泊手配の省略」「故人との時間の過ごし方の変化」「葬儀費用の節減」の4つです。それぞれ解説していきます。

遺族の負担を軽減できる

二日葬(一般葬)の場合、遺族はお通夜、告別式、火葬と二日間に渡る葬儀の手配が必要ですが、一日葬はお通夜を省略できます

お通夜は故人のご遺体と対面する貴重な機会ですが、遺族は弔問客を迎えつつ、夜通し灯明と線香の火を絶やさないようにしなければなりません。

さらにお通夜の翌日に告別式が控えており、葬儀社に告別式の諸々の手配を任せられるとはいっても、遺族の気苦労は大きいでしょうその点、一日葬はお通夜を省略できるため、遺族の負担を軽減できるメリットがあります。

遠方からくる参列者の宿泊手配が要らない

遠方からくる参列者に対しては、一般的に宿泊費まで負担する必要はありませんが、葬儀場近くのホテルを手配してあげると親切です。

しかし宿泊施設を手配する場合は、アクセスの良さや宿泊費などの事情も考慮しなければならないので、意外と手間がかかります(葬儀場によっては、宿泊施設や仮眠用の設備が併設されていたり、葬儀社がホテルを手配してくれたりすることもあるようです)。

一日葬の場合は、お通夜がなく一日で葬儀の日程が終了する分、こうした宿泊施設の手配が不要というメリットがあります。

故人とゆっくりお別れができる

お通夜がある二日葬(一般葬)の場合、遺族は弔問客の対応に追われることが多いでしょう翌日に故人との永遠のお別れを控えていても、なかなか故人を偲ぶ時間を取りづらいものです。

お通夜が行われない一日葬は時間こそ限られますが、慌ただしさがない分、落ち着いた心境で故人とお別れができるでしょう。

費用負担が一日分節減されることも

一日葬ではお通夜が執り行われないので、一日葬はお通夜の会場費と振る舞い(飲食費)がかかりません僧侶へのお布施代に関しても、お通夜がない分、二日葬(一般葬)より抑えられる可能性があります。

二日葬(一般葬)の平均相場は100万円〜120万円、家族葬で60万円〜80万円かかるのに対して、一日葬の平均相場は50万円〜70万円ほどです。

ただし葬儀場によっては、ご遺体の安置や準備のための費用が発生するため、一日葬のプランを検討する際は「遺体を安置するための費用」が含まれているかどうかをチェックしましょう。

いずれにしても一日葬は、二日葬(一般葬)よりも費用を抑えられるメリットがあります。

一日葬の3つのデメリット

メリットが多い一日葬ですが、お通夜を省略するデメリットも考えられます。特に把握しておきたい3つのデメリットについて解説します。

告別式に参列できない人がいる可能性も

二日葬(一般葬)や家族葬の場合は「お通夜なら参列できるが、告別式には参列できない」、逆に「お通夜には参列できないが、告別式なら参列できる」と、どちらか一方のみ参加できる弔問客にも対応できます

一方で一日葬の場合、弔問客は当日の予定が合わなければ参列できません。その上、告別式は昼間に行われるケースが多く、時間帯によっては参列が難しい人も出てきますそのため、想定していた以上に参列者が少なくなることも想定されます

また、参列できなかった親族や知人から「故人と最後のお別れができなかった」と反感を買ってしまう恐れがある点もデメリットといえるでしょう。

お葬式の当日が忙しい

二日葬(一般葬)や家族葬の場合、弔問客はお通夜と告別式に分散されますが、一日葬の場合は半日程度で告別式、火葬まで執り行います一日に参列者が集中するため、親族や知人の到着時間が重なり、忙しくなることもあります。

一日葬のメリットとして「遺族の負担を軽減できる」「故人とゆっくりお別れができる」とお伝えしましたが、あくまでも参列者が少ない場合です。

参列者がある程度多い場合、お通夜・葬儀の二日間に分ける二日葬(一般葬)や家族葬を行う方が良いでしょう

菩提寺(ぼだいじ)の許可が必要なことも

一般的な葬儀では、お通夜と告別式で僧侶による読経が行われますが、それぞれ読まれるお経が異なることがあります

そのため、菩提寺によっては従来の二日葬(一般葬)以外は認めない場合もあります。事前に一日葬の許可を取っておきましょう。

菩提寺の許可を得ずに一日葬を行った場合、納骨や法要を断られるリスクがあるため注意が必要です。

【スケジュールを押さえておこう】一日葬の流れ

ここから一日葬の基本的なスケジュールについて解説します。病院や葬儀社によって異なる部分はありますが、目安として抑えておきましょう(病院で亡くなった場合を想定しています)。

 【葬儀前日】

医師が死亡を確認し、「死亡診断書」を受け取ります。

病院で亡くなった場合、看護師によってエンゼルケア(逝去後の死後処置や死化粧など)が行われ、ご遺体は病院の霊安室や病室で安置されます。病院での安置は半日程度なので、それまでに葬儀社にご遺体の搬送を依頼します

その後、病院に到着した葬儀社のスタッフが、故人のご遺体を自宅または葬儀社の安置所などに搬送します

次に、葬儀社と一日葬の打ち合わせを行います(打ち合わせの内容については後述します)。この段階で、菩提寺に「一日葬を行いたい」と連絡することが大切です。

葬儀社との打ち合わせを終えたのち、故人の友人や知人、親族に連絡します。もし参列者ではないものの、訃報の連絡をしたい人がいる場合は、後日弔問に来てほしい旨を伝えましょう。

その後、遺族と親族は葬儀社の遺体安置所などで故人を偲びます。

 【葬儀社との打ち合わせ】

葬儀社との主な打ち合わせ内容は以下の通りです。

  • 葬儀の日程と形式
  • 葬儀の費用
  • 受付や僧侶の手配
  • 斎場の確認
  • 告別式の流れの確認

など

 

一日葬では形式や斎場の確認だけではなく、葬儀の具体的な流れも前日に決めることになります。事前にタイムスケジュールが配られるため、もし不明点があれば、いつでも葬儀社に確認しましょう。

葬儀費用の平均相場はいくら?できるだけ安く抑えるコツとは

【葬儀当日】

葬儀当日は、以下の3つに分けられます。

  1. 納棺
  2. 告別式
  3. 火葬

 

それぞれ解説していきます。

納棺

納棺とは、故人のご遺体を清め、あの世への旅立ちに向けた支度をいいます。通常は葬儀当日、もしくは前日に葬儀社のスタッフによって行われます。お花や嗜好品なども棺に納められますが、入れられないものもあるため事前に確認しましょう。

告別式

納棺が済んだのち、告別式が開式されます。僧侶の読経後に参列者が焼香し、最後に花入れを行い出棺して火葬場へ向かいます

火葬

僧侶がいる場合は火葬前に読経を行います。その後に喪主、遺族の順番で焼香し、火葬後に骨上げ、場合によっては初七日法要や会食を行って散会です。故人の遺骨に関しては、喪主が一旦持ち帰ることが多いでしょう。

一日葬の費用はどのくらい?平均相場を押さえておこう

先述したように、一日葬の平均相場は50〜70万円ほどです。葬儀場の規模や参列者数によっても異なりますが、高くても100万円ほどでしょう。

一日葬でかかる費用の内訳には以下があります。

  • 葬儀費用
  • 葬儀場の実費費用
  • おもしてなしの費用(精進料理や香典返しなど)
  • 宗教者への謝礼(読経料、戒名料、お車代など)

 

上記以外にもプランによっては別料金が発生する可能性があるため、検討段階でしっかりチェックすることが大切です。

たとえば、ドライアイス代が含まれているプランを選んだ場合、保管期限が「故人の逝去から二日間分」などと制限があるかもしれません。

その際、火葬場が混み合っていたり、仏滅や友引と重なって葬儀が三日後になったりすると追加費用が必要になります。

費用に関する疑問があれば、事前に葬儀社に確認しておきましょう。

家族葬・二日葬(一般葬)と比較!一日葬はこんな人におすすめ!

ここまで一日葬の概要やメリット・デメリット、流れや平均費用について解説しました。最後に、一日葬を検討すべき人はどんな人か、火葬式、家族葬、二日葬(一般葬)と比較しながら説明します。

火葬式だけでは寂しい人

コロナ禍で火葬式(直葬)を選ぶ人が増えたとはいえ、「祭壇を飾らず、参列者も招かないまま故人とお別れするのは寂しい」と思う人に一日葬はおすすめです。

お通夜はありませんが、葬儀前日に時間をかけて故人を偲べるため、ゆっくりお別れをしたい人にも向いています。

葬儀にかかる時間と費用を抑えて故人を偲びたい人

二日葬(一般葬)と家族葬はお通夜を執り行うため、基本的に二日(または三日)の期間が必要です。前述したように、二日葬(一般葬)の平均相場は100万円〜120万円、家族葬は60万円〜80万円ほどの費用がかかります。

一日葬は一日で葬儀が終了するため時間を短縮でき、平均費用は50〜70万円ほどと安価なため、他の葬儀形式よりも費用を抑えられます。

このように一日葬は、葬儀の手間や費用を抑えつつ故人を偲びたい人におすすめです。

亡くなったあとの葬儀に関わる手続きをお任せしたい!一般社団法人全国シルバーライフ保証協会に相談してみよう

一日葬はお通夜がなく、告別式、火葬を一日で執り行うタイプのお葬式です必要な儀式が少ないため所要時間が短く、二日葬(一般葬)よりも参列者や遺族の負担が軽い特徴があります。

そのため、高齢者社会が進行する現代に合っている葬儀といえるでしょう。

一方、お通夜がないため参列者が限定されたり、菩提寺によって許可が必要になることもある点はデメリットといえます。想定よりも参列者が多い場合は、葬儀当日が慌ただしくなる点にも注意が必要です。

基本的な流れとして、葬儀前日に葬儀社スタッフと打ち合わせを行ったのち、当日は納棺、告別式、火葬の順で進行します。

また、一日葬の平均相場は50万円〜70万円ほどです。高くても100万円以内に収まるケースが多いでしょう。

なお、一般社団法人全国シルバーライフ保証協会では、エンディングサポートを行っています。

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この記事の担当者

大倉 弘行シルバーライフカウンセラー│東京シルバーライフ協会代表理事│BF・H株式会社常務取締役

大倉 弘行シルバーライフカウンセラー│東京シルバーライフ協会代表理事│BF・H株式会社常務取締役

2009年ベストファームグループ入社。2013年から高齢者の身元保証、任意後見、死後事務委任等のサービス「オーカスタイル」の立ち上げに従事。2019年 東京シルバーライフ協会代表理事として、同グループの高齢者支援事業の責任者を務める。

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