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相続人申告登記とは|いつから?必要書類や費用まで司法書士が解説

相続登記義務化により、相続登記に期限が定められました。これによって、遺産分割協議が長引いて、相続登記の手続きが期限内に間に合わないといった状況がありえます。

そういった場合、今回解説する「相続人申告登記」制度を利用することで、相続登記の義務を一応果たしたものとしてみなして、過料(行政上の秩序罰。相続登記義務化の場合10万円以下の納付)を免れることができます

今回、この記事では司法書士がこの相続人申告登記を利用するために必要な基礎知識をわかりやすく解説いたします。期限内に申告できなさそう……という方は、本記事をご参考いただき、相続人申告登記の利用を検討してください。

動画で『相続登記義務化』を徹底解説

「相続人申告登記」とは

相続人申告登記とは、不動産所在地の法務局で登記官に「登記簿上の所有者が亡くなって相続が開始されたこと」と「自らがその相続人であること」を申し出る登記のことです。わかりやすく言うと、法務局で「自分がその不動産の相続人である」ことを登記簿に記載してもらう手続き、となります。

登記簿に記載されているのは土地や建物に関する所在や面積、所有者の氏名などの情報です。相続人申告登記を行うと、登記簿の権利部に相続人の住所・氏名などが記載され、登記簿上の「権利部」で誰が相続人か把握できる状態となります。

【登記簿権利部(甲区)所有権に関する事項のイメージ】

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項
1所有権移転昭和〇年〇月〇日第〇号原因 昭和〇年〇月〇日売買
所有者 〇市〇町〇番地〇
佐藤太郎
付記1号相続人申告令和〇年〇月〇日第〇号原因 令和〇年〇月〇日相続開始
佐藤太郎の申告相続人
〇市〇町〇番地〇
佐藤次郎

2024年(令和6年)4月1日の法改正施行後は、相続によって不動産を取得したら3年以内に法務局に登記を申請しなければなりません。前述のとおり、正当な理由なく申請を怠ると、裁判所を通じて行政から10万円以下金銭の納付を命じられます。

相続人申告登記により、相続登記の義務は履行された(果たされた)ものとみなされます改正不動産登記法 第76条の3 第2項)。

相続人申告登記は義務?

相続人申告登記は簡易な登記手続きによって相続登記の義務を履行するものです。相続人申告登記自体は義務ではありません。ただ、相続人申告登記後に遺産分割が成立して正式な相続人が決まったら遺産分割協議が成立した日から3年以内に相続登記をしなければなりません(改正不動産登記法 第76条の3 第4項)。

相続人申告登記と相続登記の違い

相続登記は正確には「相続による所有権の移転の登記」という手続きで、登記申請の時点で相続人の範囲や法定相続分の割合を確定させておく必要があります。相続人申告登記は相続登記とは異なり、申請の時点で相続人の範囲や法定相続分の割合まで確定してある必要はありません。相続人調査などの相続手続きが済んでいなくても相続登記の義務を果たすことができます。

ただし、相続人申告登記は相続登記とは異なり、不動産の所有権が移転した事実を登記するものではなく、権利が移転したことを証明することはできません。例えば相続した不動産を売却したいと思っても、相続登記をしていなければ所有権を証明できず、不動産を売却できません。相続した不動産を売却・贈与など活用したいのであれば相続登記が必要です。

相続人申告登記はいつから始まる?

相続人申告登記が利用可能になるのは、相続登記の義務化と同じく、2024年4月1日(予定)からです。

相続人申告登記はなぜ新設されたのか

登記簿を見ても所有者が判然としない「所有者不明土地」の増加が、土地活用を妨げると問題視されてきました。今まで任意だった相続登記を義務化して罰則を設けることで相続人が相続登記を怠ることが減ると考えられています。

しかしながら、不動産は相続財産の中でも分けにくい財産の代表格ですし、相続登記の手続きには専門的な知識を求められることも少なくなく、遺産分割協議から相続登記の手続きまですべて終わらせるのには相応の時間がかかります。そのため義務化された後、3年という期限に間に合わないケースが出てくることも想定されたので、相続登記の義務の実効性を高めるために報告的な登記で相続登記の義務を果たしたとみなす相続人申告登記も同時に新設することになったのです。

相続人申告登記のやり方

相続人申告登記はいったい誰がいつまでにどうやって手続きすれば良いのでしょうか。わかりやすく解説していきます。

相続人申告登記は誰が申請できる?義務履行したとみなされる相続人の範囲は全員?

不動産を相続し、相続登記の義務がある相続人です。注意してほしいのは、相続人申告登記によって相続登記の義務を果たしたとみなされるのが申請した本人だけという点です。申請者以外に故人の不動産を相続する権利がある相続人がいる場合、その相続人も相続人申告登記を申請しなければなりません。相続人が複数存在する場合、 特定の相続人が単独で申請することもできます(他の相続人の分も含めた代理申出も可ということ)。

相続人申告登記の期限は?いつまで手続きすれば良いか

相続人申告登記は相続登記の期限内に法務局に申請することで申請義務を履行したものとみなす制度なので、不動産を相続をしたことを知った日から3年(相続登記の期限内)です。

相続人申告登記の申請場所は法務局?どこで誰に申告する?

不動産所在地にある法務局で登記官に対して相続人申告登記を行います。登記官とは法務局で登記に関する事務を処理する権限を持つ法務事務官のことです。

相続人申告登記の必要書類

現時点で正式な必要書類のアナウンスはありませんが、少なくとも申請をする相続人の「戸籍謄本」の添付が必要になるとされています。

申出をする相続人自身が被相続人(所有権の登記名義人)の相続人であることが分かる当該相続人の戸籍謄本を提出することで足ります。

知っていますか?相続登記の申請義務化について|宇都宮地方局ホームページ

相続人申告登記の手続きの流れ

不動産を所有する相続人が法務局の登記官に「相続が開始した旨」および「自らが当該所有権の登記名義人の相続人である旨」を申し出る必要があります。申し出を受けた登記官が、所要の審査をした上で、申請をした相続人の氏名・住所等を職権で登記に付記します。

相続人申告登記にかかる費用はいくら?

相続人申告登記の申請自体には費用は発生しません。ただし、相続人申告登記に必要な添付書類を準備する際に発行手数料などがかかります。

※無料相談は初回90分間になります
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相続人申告登記をしたら終わりではない!その後の手続きはどうなる?

先述の通りですが、相続人申告登記は簡易な登記手続きによって相続登記の義務を履行するものであって、相続登記自体は完了していません。登記簿上では相続人が誰かわかるだけで、所有権が誰に移転したかまでは証明することはできません。相続した不動産を売却・活用・贈与などしたいのであれば、相続人申告登記を済ませた後に相続登記(所有権移転登記)を行う必要があります

相続人申告登記後は遺産分割協議を実施し、不動産の正式な相続人が決めましょう。不動産の相続人が決まったら遺産分割協議が成立した日から3年以内に相続登記をします。

相続人申告登記のメリット・デメリットを解説

相続人申告登記のメリットはやはり、相続人の調査・確定、遺産分割協議といった相続の手続きを進めている途中でも、簡易的な手続きで期限内に相続登記の申請義務を一応果たせるという点です。逆にデメリットは、先述の通り、相続登記を改めて行う必要がある点と、登記簿に住所氏名が載ることになるので、登記簿を閲覧した不動産業者などから求めていない営業をかけられる可能性が生まれる点です。相続人申告登記は場当たり的にとりあえず過料を回避したにすぎないので、相続登記をしなければ不動産の活用もできないので、よほどのことがない限り、きちんと3年以内に相続登記した方が手間も一度で済むので、良いと思われます。

相続人申告登記はどのような場合に使えばいい?

相続人申告登記は相続登記の申請義務を3年以内に履行するために利用されます。相続の手続きは長引くケースも多いので、とにかく相続登記の期限に間に合わなそうなら相続人申告登記の利用をおすすめします。例えば次のような場合です。

遺産分割協議がまとまらない場合

遺産分割協議は相続人全員の合意が必要なので相続人が一人でも反対すると成立しません。そのため、誰が不動産を相続するかもめているうちに相続登記の期限を過ぎてしまう可能性もあります。不動産は遺産分割協議が成立するまで相続人全員での共有状態となるため、相続人全員が相続登記の義務違反で罰せられてしまいます。

相続登記の期限までに遺産分割協議が成立しないなら、ひとまず相続人全員分の相続人申告登記をします。先述の通り、相続人申告登記で相続登記の義務を果たすためには、各相続人が個別で相続人申告登記をする必要があります。ただし、相続人のうちの一人が、相続人全員の申出を代理して手続きすることも可能です。

相続人申告登記をしておけば、相続登記の期限は相続したことを知った日から3年ではなく、遺産分割協議が成立した日から3年となります。つまり、とりあえず相続人申告登記をしておけば、遺産分割について皆が納得いくまで話し合うことができます。

相続人が多い場合

親族が多いと相続人の範囲の調査・確定や必要書類の準備、遺産分割協議での合意形成に時間がかかり、相続登記の期限を過ぎてしまうかもしれません。

相続登記の義務化は、義務化以降に発生する相続だけでなく、それ以前に発生した相続にも適用されます。もし長期間に渡って不動産が相続登記がされていなかった場合、数次相続(相続手続きが終わらないうちに相続人の一人が亡くなり、次の相続が発生すること)が発生し、相続人調査の段階で相当な時間を要する可能性が非常に高くなります。

このような場合こそ、相続人が相続人申告登記を行いましょう。

まとめ|相続登記のことならベストファーム司法書士法人へ

この記事のまとめ

  • 「相続人申告登記」とは「①登記簿上の所有者が亡くなって相続が開始されたこと」と「②自分がその相続人であることを法務局に申し出ること」で、相続登記の義務をとりあえず果たしたものとして扱ってもらえる制度のこと
  • 申告すると申告した相続人の氏名・住所などが登記される
  • 相続登記の申請義務を果たしたとされるのは申告した本人だけ
  • 申告者本人だけで自分が相続人であることが分かる戸籍謄本などが必要になる

繰り返しとなりますが、相続人申告登記はあくまでも報告的な登記で所有権を公示することはできません。不動産の活用を検討しているなら相続登記を進めましょう。相続登記でお困りならベストファーム司法書士法人にご相談ください。

※無料相談は初回90分間になります
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この記事の監修者

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司法書士斉藤圭祐

ベストファーム司法書士法人 代表社員/相続・生前対策の専門家/相続手続き、生前対策、遺言書作成、家族信託、成年後見、不動産登記、商業登記、事業承継など幅広く対応しています。

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