介護サービスの一つである「ショートステイ(短期入所生活介護)」とは、介護が必要な高齢者が、一時的に介護施設へ宿泊し、日常生活支援や介護サービスを受けられる制度で、介護保険の適用範囲内で利用できます。介護をしている家族が「一時的に介護の手を休めたい」「急な用事で自宅での介護が難しい」といった状況で活用されます。本記事では、ショートステイの基本的なサービス内容から利用の流れ、料金などをわかりやすく解説します。
ショートステイ(短期入所生活介護)とは?
ショートステイとは、介護保険サービスの一つで、要介護認定を受けた高齢者が一時的に介護施設へ宿泊し、食事・入浴・排せつなどの日常生活の介助や機能訓練を受けられる介護保険サービスです。利用期間は原則30日以内で、一泊から利用可能です。
ショートステイとは「短期利用を前提とした介護サービス」
ショートステイは、正式には「短期入所生活介護」と「短期入所療養介護」の2種類があります。短期入所生活介護は主に日常生活のサポートを行い、短期入所療養介護は生活介護に加えて医療面のケアも行うという違いがあります。
ショートステイは、主に介護者の負担軽減や、緊急時の一時的な預かり先の確保を目的に利用されます。たとえば、介護者の体調不良、冠婚葬祭、旅行などで一時的に介護が難しくなる場面で利用します。
ショートステイは基本的に「短期間」の利用を前提としており、在宅介護を支えるサポート的役割を果たします。実際、2024年度には400万人以上がショートステイを利用しており、高齢化が進むなかで、在宅介護を支える重要な制度の一つとなっています。介護保険制度に基づいて運営されているため、要介護度に応じた利用が可能で、費用面においても自己負担が軽減されやすい点が大きなメリットです。
出典:厚生労働省|令和5年度 介護給付費等実態統計の概況(令和5年5月審査分~令和6年4月審査分)
ショートステイで受けられるサービス内容
ショートステイでは、以下のような生活支援や介護サービスを受けることができます(施設の種類や規模により若干の違いはあります)。
- 食事・入浴・排せつなど日常生活の介助
- 健康チェック(血圧・体温など)
- レクリエーションや趣味活動
- 機能訓練(リハビリテーション)
さらに、短期入所療養介護では、医師や看護師による医療的ケアも提供されます。たとえば、呼吸や栄養摂取、排せつなどに関連する、日常生活に必要な生活援助が提供されるので、医療的ケアが必要な人には短期入所療養介護が適しているでしょう。
また近年では、需要の高まりや令和6年に施行された看取り連携体制加算の影響から、看取り期のケアに対応するショートステイ施設も増えています。
ショートステイを利用できる期間
ショートステイの利用期間は、原則として「短期間」に限られています。具体的には1日から数週間程度の利用が一般的で、介護報酬として算定されるのは連続30日までと「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」で定められています。(指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準 8 短期入所生活介護費(1日につき)注21)31日目以降は介護保険が適用されず全額自己負担となるため、利用日数には注意が必要です。
ただし、制度上の運用として、31日目を自費で支払えば32日目以降の30日間は再び介護保険が適用され、1日あたり30単位減算されて算定されます。
また、施設を移動しても日数はリセットされず、同じ月に複数の施設を利用した場合でも通算でカウントされます。
もう一つ注意が必要なのは、介護認定の有効期間の半数を超える日数にも保険は適用されないことです。介護認定期間とは、ざっくりいうと要介護認定の有効期間のことをいいます。もし、介護認定期間が180日なら、90日まで利用できることになります。
ショートステイは、あくまで在宅介護を前提とした一時的なサービスです。実際、厚生労働省の調査では、連続利用の最多は2~3日間となっており、長期利用はあくまで例外的な扱いとなります。
出典:厚生労働省|短期入所生活介護
長期間利用するロングショートステイ
ショートステイの長期間利用は「ロングショートステイ」と呼ばれ、介護施設への入所待ち、介護者の出張や入院などやむを得ない事情がある場合に限り、例外的に認められることがあります。利用を認めてもらうためには、ロングショートステイが必要な理由が記載された「理由届出書」と「ケアプラン」を、サービスを提供する施設のケアマネジャーが作成後に自治体に提出し、受理される必要があります。
ショートステイで利用できる居室タイプ
ショートステイでは、施設によって複数の居室タイプが用意されています。それぞれメリット・デメリットに違いがあるため、利用者や家族の希望に合わせて選びましょう。
| 居室タイプ | 特徴 | メリット | デメリット |
| 多床室 | 複数人が寝泊まりする大部屋 | ほかの入所者と交流が生まれやすい 費用が比較的安く抑えられる | プライバシーを確保しづらい |
| 従来型個室 | 一人一部屋割り当てられる個室 | プライバシーを守りやすい 静かに過ごせる | 孤独を感じる場合がある |
| ユニット型個室 | 一人一部屋の個室だが、生活設備は共有 | 個室のプライバシーを確保しながら、ほかの入所者との交流も図れる | 生活設備が整っている分、料金が高め |
| ユニット型個室的多床室 | 仕切りで半個室化された多床室 | 共有スペースがありつつ、ある程度のプライバシーを確保できる | 完全個室ほどの静けさはない |
ショートステイを利用すべき場面
ショートステイは、介護者の負担軽減と利用者本人の生活支援の両面を叶えるサービスです。以下でショートステイを利用すべき場面を紹介します。
- 介護者が冠婚葬祭や出張、旅行などで一時的に介護できないとき
- 介護者自身が体調不良で入院、休養が必要なとき
- 仕事の都合で介護が難しいとき
- 退院後に自宅で介護をするための体制を整えたいとき
- 在宅介護が続き、介護者の介護疲れが溜まっているとき
- 将来的な施設入所の「お試し」として利用したいとき
在宅介護を担う家族が、数日間、介護から離れて休養することを目的とする利用は「レスパイトケア」と呼ばれます。レスパイトケアはショートステイ以外(デイサービスなど)でも実現できます。しかし、宿泊を伴うことで家族がしっかりと休息を取れる点がショートステイの利点です。
また、利用者本人にとっても、施設での集団生活やレクリエーションへの参加は気分転換になります。とくに、孤立しがちな環境にいる高齢者にとっては、社会的交流の場となり、精神的な安定や生活の質の向上につながることもあります。
ショートステイの種類と利用条件
ショートステイには介護保険が適用されるものと、全額自己負担で利用するものがあります。ここでは、両者の内容や違いについて解説します。
介護保険制度が適用されるショートステイ
介護保険が適用されるショートステイは、短期入所生活介護と短期入所療養介護の2種類にわかれます。
短期入所生活介護(特養・有料老人ホームなど)
厚生労働省によると、短期入所生活介護とは「利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、利用者(要介護者など)が老人短期入所施設、特別養護老人ホームなどに短期間入所し、当該施設において入浴、排泄、食事などの介護その他の日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者の心身の機能の維持並びに利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減を図るもの」と定義されています。利用できる施設としては、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームなどがあり、医療ケアは限定的で、生活援助やレクリエーションが中心です。
短期入所生活介護の対象者や利用できる施設、サービス内容は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
| 対象者 | 要支援・要介護認定を受けている方 ※要支援者の方を対象とする場合は、同様のサービスでも「介護予防短期入所生活介護」といいます |
| 利用できる施設 | 特別養護老人ホーム・介護付き有料老人ホーム・ショートステイ専門の施設など |
| サービス内容 | 食事・入浴・排せつ介助、健康管理、機能訓練、レクリエーションなど |
出典:厚生労働省|短期入所生活介護の概要・基準
単独型・併設型の特徴
短期入所生活介護には「単独型」と「併設型」があります。単独型はショートステイ専用の施設で、比較的受け入れ人数が多く、利用者対応の柔軟性が高い点が特徴です。併設型は特養などの施設の空きベッドを活用するタイプのショートステイであり、サービス内容自体は単独型とさほど変わりません。
| タイプ | 特徴 |
| 単独型 | 短期入所生活介護の専用施設。併設型より受け入れ枠が多い傾向がある。 |
| 併設型 | 特養などの空床を利用。将来的な施設入所を見据えている場合の慣らしに適している。施設の空きベッドを使うため、単独型より予約がとりにくい傾向。短期入所療養介護は併設型のみ。 |
短期入所療養介護(老健・介護療養型医療施設など)
厚生労働省によると、短期入所療養介護は、「要介護状態となった場合も、利用者が可能な限り居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、看護、医学的管理の下における介護、機能訓練その他必要な医療、日常生活上の世話を行うことで、療養生活の質の向上及び利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減を図るもの」と定義されています。
短期入所療養介護の対象者や利用施設、サービス内容は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
| 対象者 | 要支援・要介護認定を受けた方で、医療的ケアやリハビリを必要とする人 ※要支援者の方を対象とする場合は、同様のサービスでも「介護予防短期入所療養介護」といいます |
| 利用施設 | 介護老人保健施設、療養病床を有する病院もしくは診療所、介護医療院など |
| サービス内容 | 医師・看護師による医療的管理、投薬、点滴、検査、リハビリ、日常生活介助 など |
短期入所生活介護で受けられる医療ケアは限定的であるため、医療行為を伴う支援が必要な場合は短期入所療養介護の利用が望ましいでしょう。
出典:厚生労働省|短期入所療養介護
介護保険制度に適用されるショートステイの利用条件
介護保険適用のショートステイを利用するには、要支援または要介護認定を受ける必要があります。
原則として65歳以上で要支援・要介護と判定された方であれば介護保険適用のショートステイを利用できますが、65歳未満であっても、特定疾病により要介護認定を受けた場合には利用が可能です。
・65歳未満での利用条件
40歳から65歳未満の方が介護保険制度の対象となるのは、以下の16種類の特定疾病に該当し、かつ、要介護認定を受けた場合に限られます。
- がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗しょう症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病※【パーキンソン病関連疾患】
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
出典:厚生労働省|特定疾病の選定基準の考え方
介護保険が適用されるショートステイを利用したい場合は、利用条件を満たしていることを確認したうえで、ケアマネジャーと相談しながらショートステイの利用を踏まえたケアプランを作成してもらいましょう。
介護保険制度が適用されないショートステイ(有料老人ホーム・サ高住など)
介護保険が適用されないショートステイは、全額自己負担となるため費用が高くなる傾向があります。その反面、要介護認定の手続きが不要で、自立した人でも「お試し利用」として入所できるメリットがあります。
対象となるのは、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などの施設です。提供されるサービスの内容や質は施設ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。
| 項目 | 内容 |
| 対象者 | 要介護認定を受けていない人、自立した高齢者 |
| 利用施設 | 有料老人ホーム、サ高住、シニア向け賃貸住宅 など |
| サービス内容 | 食事提供、生活支援、見守り、レクリエーション(施設により異なる) など |
介護保険制度に適用されないショートステイの利用条件
介護保険が適用されないショートステイの利用条件は、施設によって異なります。
一般的には、対象年齢を60歳以上または65歳以上としているところが多いですが、年齢制限を設けていない施設も存在します。また、要介護認定は基本的に不要で、健康状態に問題がなければ誰でも利用できるのが特徴です。
ショートステイとデイサービスとの違い
ショートステイとよく似たサービスに、「デイサービス(通所介護)」があります。デイサービスは、利用者が日帰りで施設に通い、生活支援やレクリエーションなどを受けるサービスです。宿泊を伴わない点や、医療ケアがない点がショートステイと異なります。
2つのサービスは目的に応じて併用するのがおすすめです。たとえば、家族が日中だけ不在ならデイサービス、数日間家を空ける場合はショートステイといった使い分けをすることで、介護の負担をより柔軟に調整できます。
ショートステイを利用する料金の目安
ショートステイの料金は、以下の3つで構成されています。
- 基本料金(介護サービス費)・・・要介護度や居室タイプ(個室・多床室など)によって金額が異なります。
- 特別サービス加算・・・夜勤体制や医療との連携など、施設独自の加算サービスにより金額が増減します。
- 介護保険外の自己負担・・・日用品代、理美容費、レクリエーション費などの実費が含まれます。
なお、1泊2日あたりの自己負担額はおおよそ3,000〜8,000円程度で、要介護度や施設の条件によって費用は異なります。ここからは、各料金の概要や目安について解説します。
※以下で紹介する「短期入所生活介護(併設型)」と「短期入所療養介護(介護老人保健施設)」の基本料金は、「厚生労働省 社会保障審議会・介護給付費分科会 第239回の介護報酬の算定構造」に掲載されている単位を参考に算出しています。
短期入所生活介護(併設型)の基本料金
以下は短期入所生活介護(併設型)の1日あたりの基本料金目安です。
| 要介護度 | 多床室/従来型個室 | ユニット型個室/ユニット型個室的多床室 |
| 要支援1 | 451円 | 529円 |
| 要支援2 | 561円 | 656円 |
| 要介護1 | 603円 | 704円 |
| 要介護2 | 672円 | 772円 |
| 要介護3 | 745円 | 847円 |
| 要介護4 | 815円 | 918円 |
| 要介護5 | 884円 | 987円 |
※自己負担1割の場合。1単位=10円で計算。地域区分や施設形態によって誤差あり
※要支援1・2は介護予防短期入所生活介護の料金目安
短期入所療養介護(介護老人保健施設)の基本料金
短期入所療養介護の1日あたりの基本料金は、医師や看護師の医学的管理を含むため短期入所生活介護よりやや高額です。
| 介護度 | 多床室 | 従来型個室 | ユニット型個室/ユニット型個室的多床室 |
| 要支援1 | 613 円 | 579 円 | 624円 |
| 要支援2 | 774 円 | 726 円 | 789円 |
| 要介護1 | 830 円 | 753 円 | 836 円 |
| 要介護2 | 880 円 | 801 円 | 883 円 |
| 要介護3 | 944 円 | 864 円 | 948 円 |
| 要介護4 | 997 円 | 918 円 | 1,003 円 |
| 要介護5 | 1,052 円 | 971 円 | 1,056 円 |
※自己負担1割の場合。1単位=10円で計算。地域区分・施設基準により差異あり
※要支援1・2は介護予防短期入所療養介護の料金目安
特別サービスの加算
基本料金に加え、施設のスタッフの勤務体制やサービス内容次第で加算費用が上乗せされます。加算対象となる代表的な項目は以下の通りです。
- サービス提供体制強化加算
- 夜勤職員配置加算
- 看護体制加算
- 医療連携強化加算
- 認知症専門ケア加算
- 個別機能訓練加算
- 機能訓練体制加算
- 生活機能向上連携加算
- 送迎加算
- 緊急短期入所受入加算 など
加算対象となるサービスの有無は施設ごとに異なります。金額的な目安としては、1項目あたり数十〜数百円が基本料金に加算されると考えておきましょう。
介護保険外の自己負担
ショートステイでは、介護保険では賄えない費用も発生します。介護保険適用外の費用の代表例は以下の通りです。
- 食費(一食あたり600~800円程度)
- 滞在費(一日あたり3,000~5,000円程度)
- 日用品・おむつ代
- 理美容費
- レクリエーション費用 など
なお、介護保険が適用されないショートステイ(自費利用)の場合、1泊あたり1〜1万5000円程度かかることもあります。
ショートステイを利用するための手続きの流れ
ここからは、ショートステイを利用するための手続きの流れについて解説します。
1|要介護認定を受ける
介護保険でショートステイを利用するには、要介護認定を受ける必要があります。
申請は市区町村の介護保険窓口で行い、訪問調査や主治医の意見書をもとに、一次・二次判定を経て要介護度が決まります。認定区分は「要支援1・2」から「要介護1~5」まであり、その結果によって利用できる介護サービスの範囲や内容が異なります。
2|ケアマネジャーに利用の相談をする
ショートステイを利用する際の手続きは、ケアマネジャーが基本的に行います。要介護認定の通知を受け取ったら、担当のケアマネジャーにショートステイの利用希望を伝えます。
ケアマネジャーには、以下のような希望を伝えましょう。
- 利用したい時期
- 利用目的(介護者の休養や本人のリハビリなど)
- 心身の状態
- 希望する期間や居室タイプ
ケアマネジャーは、こうした希望をもとに施設を探して手配や調整を行ってくれます。
3|利用する施設を選ぶ
ショートステイでは、近隣の施設から利用先を選びます。自分で探すのが難しい場合は、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所のケアマネジャーに相談しましょう。
申し込み時に「身元保証人」が必要とされることがあります。身元保証人とは、緊急時の連絡対応や金銭的な保証などを担う方です。
家族などの身元保証人として頼れる人がいない場合は、民間の身元保証サービスを利用する方法もあります。施設によって対応が異なるため、事前に身元保証人が必要かどうかを確認しておきましょう。
4|ケアマネジャーが利用を申し込む
施設が決まったら、ケアマネジャーを通じて正式に利用申し込みを行います。申し込みの際には、利用者本人の健康状態や生活状況について詳細を伝える必要があり、施設側から質問票の記入や面談を求められることもあります。
5|ケアプランを作成する
ショートステイを利用する際には、ケアマネジャーと施設担当者がケアプラン(介護サービス計画書)を作成します。ケアプランとは、利用者や家族の希望や課題に対して、どのような介護サービスを提供するかをまとめた計画書です。ケアプランは、利用者の心身の状態や希望に基づいて作られるため、「毎日入浴したい」「リハビリを重視したい」といった要望を事前に伝えておくことが大切です。
6|契約して利用を開始する
ケアプランが確定したら、施設から重要事項説明を受け、契約を締結します。契約の際には利用料金・キャンセル料の有無・契約期間・緊急時の対応・賠償責任などをしっかりと確認し、問題がなければ締結しましょう。
ショートステイで過ごす1泊2日のスケジュールの例
以下は一般的なショートステイの1泊2日スケジュール例です。
| 時間帯 | 内容 |
| 1日目 午前 | 送迎・健康チェック・オリエンテーション |
| 1日目 昼 | 昼食・服薬・休憩 |
| 1日目 午後 | レクリエーション・機能訓練(リハビリ)・おやつ |
| 1日目 夕方~夜 | 入浴・夕食・自由時間(テレビ・読書など) |
| 1日目 夜 | 就寝準備・消灯 |
| 2日目 朝 | 起床・朝食 |
| 2日目 午前 | 入浴または機能訓練 |
| 2日目 昼 | 昼食・服薬 |
| 2日目 午後 | レクリエーション・おやつ・荷物整理・送迎 |
このスケジュールはあくまで一例であり、実際は施設や契約内容によって異なります。
たとえば、医療ケアが必要な場合は検査が追加されたり、認知症ケアに力を入れる施設では専門プログラムが組み込まれたりすることもあります。
利用前に、自分や家族の希望に合ったサービス内容かを確認しましょう。
ショートステイを利用する際の注意点
ショートステイを利用する際には、予約時期・持参品・費用・契約条件を事前に確認しておくことが重要です。特に人気施設には予約が集中するため、早めに準備を進めましょう。
ショートステイの申し込みは2~3ヶ月前を目安に進める
ショートステイの申し込み開始時期は施設によって異なりますが、一般的には2〜3ヶ月前が目安です。人気の高い施設や、サービスが充実している施設は予約がすぐに埋まることもあるため、早めに申し込みをしましょう。
特に年末年始・ゴールデンウィーク・お盆などの長期休暇シーズンは希望者が集中し、予約が取りづらくなります。利用を考えている場合は、余裕をもってケアマネジャーや施設に相談しておきましょう。
持参するものを確認・準備しておく
ショートステイを利用する前には、必要な持ち物を事前に確認・準備しておくことが大切です。施設によって持参品は異なるため、初めて利用する場合はチェックリストを作成して確認しましょう。
持ち物の例
- 健康保険証・介護保険被保険者証・お薬手帳
- 服(上下日数分)・下着・パジャマ
- 洗面用具(歯ブラシ・歯磨き粉・タオル類)
- 室内履き(スリッパまたは運動靴タイプ)
- 常用薬(飲み薬・湿布など)
- おむつ類・介護用品(必要な方)
- お小遣い(レクリエーションや日用品購入用) など
施設によっては、シャンプーや石けん、ティッシュなどの日用品を用意してくれる場合もあります。初めて利用するときは、何を自分で持参すべきかを事前に確認しておくと安心です。
ショートステイの施設を選ぶときのポイント
ショートステイを安心して利用するには、慎重な施設選びが重要です。介護サービスの質や体制、利用者の様子を見極めることで、自分や家族に合った施設を選ぶことができます。ここでは、ショートステイの施設を選ぶときのポイントについて解説します。
施設を比較できる「介護サービス情報公表システム」を利用する
ショートステイの施設を選ぶ際に役立つのが、インターネットで介護サービス事業所の情報を検索・閲覧できる「介護サービス情報公表システム」です。
介護保険法の規定を基に都道府県が実施する「介護サービス情報の公表制度」を運用するために、厚生労働省が設置しています。このシステムでは、全国の介護サービス事業所のサービス内容や運営体制を比較・検討できます。
確認できる主な情報は、以下の通りです。
- 施設の基本情報(所在地・定員・運営法人など)
- 提供されるサービスの種類・内容
- 職員配置(人数・資格)
- 第三者評価の実施状況
- 従業者の資質向上に向けた研修などの取り組み
- キャンセル料とその算定方法や、介護給付以外のサービス費用 など
こうした情報をもとに、費用だけでなくサービスの質や安全性も含めて総合的に比較することが可能です。実際に検討する際は、介護サービス情報公表システムで気になる施設を検索し、複数候補を比較のうえ見学し、相談するという流れで進めるのがおすすめです。
サービス内容を確認する
施設を選ぶ際は、自分の状態や希望に合ったサービスが提供されているかをしっかり確認しましょう。
短期入所生活介護と短期入所療養介護で共通するチェックポイントは、以下の通りです。
- 食事の内容(自分の好みや、かむ力、飲み込む力に合った内容で提供されるか)
- 健康管理の内容や頻度
- 送迎の有無や条件(距離や曜日、時間帯など)
- 認知症の方の受け入れの可否
- レクリエーション活動の有無や内容
- 機能訓練(リハビリ)の体制 など
医療的ケアが提供される短期入所療養介護の利用を検討している方は、以下についても確認しましょう。
- 医療的ケアの内容や、対応できる医療処置
- 医療機器の充実度や感染症対策の内容
- 急変時の搬送体制 など
さらに、24時間体制の看護師配置があるか、夜間の緊急対応ができるかといった安全面の体制も見逃せないポイントです。
利用者の様子を確認する
施設の雰囲気を知るうえで重要なのは、実際に利用している人たちの様子を観察することです。
見学の際は、以下の点をチェックしてみましょう。
- 利用者の表情が穏やかかどうか
- 職員との会話やふれあいが自然に行われているか
- レクリエーションなどに楽しそうに参加しているか
また、食事の時間の雰囲気も、施設の質を判断する材料になります。利用者同士が落ち着いて食事を楽しんでいるか、職員の配膳や声かけが丁寧かを見れば、生活全体の質や人間関係の様子が垣間見えるはずです。
スタッフの数を確認する
施設を選ぶ際は、介護職員・看護職員・生活相談員などの配置人数を確認することが大切です。人員配置には法定基準がありますが、施設によってはそれ以上の手厚い体制をとっている場合もあります。
特に夜間は職員数が少なくなりがちなので、夜勤時の人員体制や緊急時の対応能力についても事前にチェックしておきましょう。利用者が安心して過ごせるかどうかは、職員の配置状況に大きく左右されます。
短期入所生活介護・短期入所療養介護における人員配置の法定基準は、厚生労働省の資料でご確認ください。
短期入所生活介護の法定基準はこちら
短期入所療養介護の法定基準はこちら
スタッフの対応を確認する
スタッフの対応は、施設選びにおける重要な判断材料の一つです。見学時には、利用者への接し方や言葉遣いに注目しましょう。丁寧で落ち着いた応対ができているか、利用者の尊厳を尊重した対応が取られているかが重要です。
また、家族への説明や相談対応が誠実でわかりやすいかもチェックすべきポイントです。さらに、職員同士の連携が取れているかも観察しておくと良いでしょう。チームワークの整った施設は、利用者の安心感や生活の質の向上にもつながります。
設備や衛生面を確認する
ショートステイ施設の居室・食堂・浴室・トイレを見る際は、清潔さと使いやすさを重点的に確認しましょう。バリアフリー設計や転倒防止の工夫など、安全対策が行き届いているかも重要なチェックポイントです。
さらに、感染症対策や衛生管理の質も忘れずに確認してください。施設の衛生環境は、利用者の健康に直結します。
また、利用者のプライバシーに配慮しつつ快適に過ごせる空間が整っていれば、安心して利用しやすい環境といえます。とくに、初めて利用する施設の場合は、実際に見学して細部まで自分の目で確認することが大切です。
料金を確認する
料金を確認する際は、基本料金だけでなく、加算費用や介護保険外の自己負担までしっかり確認しておきましょう。たとえば、食費や日用品費などは全額自己負担になることを踏まえて、実際にかかる総額を事前に把握しておくことが重要です。
また、複数の施設を比較し、サービス内容に見合った料金かもチェックしましょう。送迎費や特別なレクリエーション費など、追加料金が発生するサービスもあるため、後からの予想外の出費を防ぐためにも、事前の確認が欠かせません。
ショートステイとは施設に宿泊して介護が受けられる便利なサービス
ショートステイは、介護が必要な高齢者が施設に短期間宿泊し、介護サービスを受けられる制度です。介護者の休養や緊急時の一時預かり、本人のリハビリや気分転換など、さまざまな目的で活用されています。
費用やサービス内容は施設によって異なるため、予約時期・料金・人員体制・設備などを比較し、自分たちに合った施設を選ぶことが重要です。
また、申し込み時に身元保証人が必要になるケースが多い点にも注意が必要です。家族以外に頼れる人がいない場合は、全国シルバーライフ保証協会の身元保証サービスの活用を検討してはいかがでしょうか。緊急時の対応や費用支払いの代行などに対応しており、安心してショートステイを利用したい人にとっては非常に心強いサポートです。
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