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【路線価】どうなる?相続 行き過ぎた節税策に警鐘【Sonael】

財産/法律

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路線価などに基づいて算定した相続マンションの評価額が実勢価格より低すぎるとして、国税当局が再評価し追徴課税した処分の妥当性が争われた訴訟で、最高裁は国税当局の処分を適法と認めた。今回の判決による今後の不動産節税への影響は、避けられないと見られている。

●暮らしの目線 相続が起きて、相続税を支払う必要がある時、誰もが余計な出費はできるかぎり避けたいと考えると思います。

今回の原告の相続人のケースは、東京と神奈川の2棟のマンション約14億円を相続しながら相続税額はゼロとなったものです。額だけ見れば私たちからすると大きなものですが、相続時の節税策としては広く知られており、一般的に行われているものでした。

ですから、弁論の前は「どの程度の節税なら許されるのか」、納税者側に分かりやすい基準が示されることが期待され、注目を集めていました。しかし、それが示されなかったために曖昧さが残り、動揺が広がっています。

●訴訟の争点 訴訟の争点は、不動産価格をどう評価するのか——。
相続税法では、相続財産の評価は「時価」で評価すると規定されています。財産が土地などの不動産の場合なら、公示価格の8割程度となる「路線価」が評価基準となります。

現金なら1億円は1億円ですが、不動産なら評価額に幅があるので、その差分によって税金を安く抑えることが可能になります。ですから、節税目的で不動産を購入するケースは多く、それが都心部の賃貸マンションや高層マンションで顕著になることから、「タワマン節税」「マンション節税」などと呼ばれていました。

国税当局はこうした節税策を問題視しており、今回のケースでは、算定額が「著しく不適当」な場合は国税当局が独自に再評価できるとする例外規定を使って、相続財産額を再評価し追徴課税しました。そして、それは「正しい」という判断結果となり、例外規定の適用も認められました。

つまり、今後も同様に「著しく不適当」な場合には、国税当局のメスが入るということになったのです。しかし、繰り返しますが、どうなれば「著しく不適当」なのかは示されていません。

●相続節税の行方 今回のケースで注目すべき点は、90歳代の父親がマンションを購入した理由について、相続人らも相続対策であることを知っていた点にあります。

今回のケースでは相続税の負担軽減を意図して不動産の購入や資金の借り入れが行われたことから、不動産購入ができない納税者との間で「公平に反する」という結論になりました。それを受けて、国税庁も「今後とも適正・公平な課税に努める」と、判決後にコメントを出しています。

もう一度言いますが、どの程度の節税なら許されるのか、その基準は示されていませんので、今後しばらくの相続は手探りで行われていくことになると思います。

ですから、特に相続が発生する高齢での不動産などの取得、高額な物品の購入などには注意して、専門家などに相談しながら行ってください。

写真はイメージ。今回の最高裁の判決により、いわゆる「タワマン節税」や「マンション節税」と呼ばれる節税策に待ったがかかった。

 

記事提供:SILVER-LIFE新聞/Sonael

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