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認知症の家族が入所できる施設は?入所タイミングや費用も解説

健康/認知症

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認知症になった家族をできるだけ自宅で介護したい」と思っても、症状の進行に伴って、介護をする家族に大きな負担がかかるものです

しかし介護施設への入所を検討する際は、「どのタイミングで入所させるとよいのか?」「費用はどのくらいかかるのか?」など、わからないことが多いのではないでしょうか

そこでこの記事では、認知症の人が入所できる介護施設や費用、入所のタイミングについて詳しく解説していきます。

家族が認知症になったら?施設に入れるタイミングはいつ?

基本的に認知症は、ゆっくり進行する病気です。最初は症状が軽くても、環境の変化によって症状が一気に進むことがあります。

今は自宅介護が可能な状態でも、症状が進行すると介護者(介護する家族など)への負担が重くなるでしょう。

施設選びには手間と時間がかかりますし、簡単に希望する施設に出会えるとも限りません。

「この施設がいいな」と思っても費用面で折り合わなかったり、費用面はクリアしても施設側から「認知症の症状が重くて個別対応できない」と断られたりするケースもあります。

自宅介護は精神的にも肉体的にも負担がかかるため、まだ余裕があるときに早めに施設を探し、先だって入所のタイミングを考えることが大切です。

では、どのタイミングで施設への入居するとよいのでしょうか。具体例を挙げながら説明していきます。

常に見守りが必要になったとき

警察庁の「令和2年における行方不明者の状況」によると、認知症またはその疑いによって行方不明になった人の数は全国で1万7,565人です。

認知症の人は、家族が一瞬目を離した隙に自宅からいなくなるケースが多いといわれています。

認知症の症状として、落ち着きなく動き回ったり、危険に対する意識が薄れたり、周囲が予測できない突発的な行動を取ったりする可能性があるので、家族としては短時間でも目を離しづらいでしょう

事故や事件に巻き込まれるリスクもあります。

しかし24時間365日、見守ることは難しいのではないでしょうか。「目を離すと危ない」状態となったら入所を検討するとよいかもしれません。

※参考URL:警視庁「令和2年における行方不明者の状況」

介護者の肉体的な疲労が蓄積されたとき

認知症は高齢になればなるほど発症率が高くなる病気です

現に東京都健康長寿医療センター研究所によると、80歳代後半の男性は35%、女性は44%、95歳を過ぎた男性は51%、女性84%が認知症であると発表しています。

親が80代〜90代の場合、子どもの年齢も50代〜60代が多いでしょう。その場合に親が認知症になれば、介護する子どもの体力的な負担が重くなり、体力も回復しにくくなります。

疲労が蓄積する前に、施設へ入居させた方がよいかもしれません

参考URL:東京都健康長寿医療センター研究所「認知症と共に生きる高齢者の人口」

いつまでこの生活が続くのか将来的な不安を感じたとき

認知症によって認知機能や身体能力がゆっくり衰えていくと、介護者の負担はじわじわと重くなるものです

特に認知症の家族の物忘れや被害妄想、暴言が続くと、介護者は精神的に追い込まれ、「いつまでこの生活が続くのか…」とストレスを抱えやすくなります

ストレスを溜め込んだまま介護を続けると、どこかのタイミングで爆発する恐れがあります。

負の感情や将来への不安で押しつぶされそうになったときが、施設への入所を考えるタイミングともいえます。

認知症の人が介護施設に入るメリット

認知症の人が介護施設に入ることで介護者の負担は軽減されしますが、実は認知症本人にもメリットがあります

介護施設スタッフによる専門的な認知症ケアを受けることで、症状が落ち着く可能性があるのです

ほかにも、運動療法によって寝たきりを防止できるうえ、脳の活性化が促されて症状を抑える効果も期待できます

入居を嫌がることも!認知症の人が介護施設に入るデメリット

介護施設への入居にはメリットがある一方、デメリットもあります。もともと集団行動が苦手な人は、入居によってストレスを抱える可能性があります

ストレスによって症状が悪化すれば、最初はふとした物忘れ程度だった症状が、数分前の出来事を忘れたり、話しかけても反応が薄くなったりするかもしれません。

本人が入居を嫌がっている場合は、特に注意が必要です。「家族から見放された」と感じて認知症の症状が進行し、暴力行為や暴言に発展することもあります。

本人が嫌がっているときは、その理由について聞いてみましょう。そのうえで「長生きしてほしい」などのこちらのメッセージを伝えることで、スムーズに納得してもらえる可能性があります

また家族だけで説得するのが難しいなら、かかりつけの医師やケアマネジャー、入居先候補の施設担当者に相談してみましょう

家族の説得には反発しても、第三者から話しをしてもらうことで、入居への抵抗が薄らぐことは十分に考えられます

認知症を受け入れている介護施設とは?種類ごとに費用の目安も紹介

介護施設と一口にいっても、認知症の人を受け入れている施設もあれば、受け入れていない施設もあります。受け入れしている施設は、以下の通りです。

  • 特別養護老人ホーム(特養)
  • 有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
  • グループホーム(認知症対応型生活介護)

 

ここからは、施設それぞれの費用の相場についても解説します。

なお、「特定施設入居者生活介護」を受けている「特定施設」に入居すれば、介護保険対象のサービスを受けられます。入居者は収入に応じて1割~3割の自己負担額で利用できます。

ちなみに「特定施設入居者生活介護」とは、厚生労働省が定めた基準を満たした施設で受けられる日常生活上のお世話や機能訓練、療養上の世話のことです。

特定施設の対象で、認知症の人を受け入れている施設は、特別養護老人ホーム(特養)、有料老人ホーム、指定を受けているサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の3つです。

詳しくは以下の関連記事をご覧ください。

特定施設入居者生活介護とは?基準や料金をわかりやすく解説

要介護1~2以上でも入居可能な「特別養護老人ホーム(特養)」

「特別養護老人ホーム(特養)」は、社会福祉法人や自治体が運営する公的な介護施設で「介護老人福祉施設」とも呼ばれています。

特養の入居条件は原則、要介護度3以上です。ただし認知症などで「やむを得ない事情」に該当する場合、要介護度1~2でも利用できる可能性があります

特養の月額費用の相場は10万〜15万円ほどです。入居一時金はありませんが、介護度や居室の種類によっても費用は異なります。

認知症で要介護認定を受けるには?手順や基準、利用できるサービスも紹介

幅広いケアに対応している「有料老人ホーム」

一般的に「有料老人ホーム」とは、民間企業が運営する老人ホームをいいます。認知症の受け入れ体制やサービス内容は、運営会社によって大きく異なるでしょう。

有料老人ホームは大きく「介護付き」「住宅型」「健康型」の3つに分類されますが、「健康型」以外は認知症に対応しているケースが多いようです。

「介護付き」と「住宅型」の月額費用の相場は15万〜35万円ほどです。ほかに入居一時金が発生する有料老人ホームもあります。

専門スタッフによる安否確認や生活相談が受けられる「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」

一般的に「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」とは、民間企業が運営する自立した健康な高齢者向けの賃貸住宅を指し、「一般型」と「介護型」に分かれます

「一般型」で提供されるのは、基本的に安否確認と生活相談などの生活支援サービスです。「介護型」の中には、認知症に対応している施設もあります(介護サービスは外部サービスを利用)。

月額費用の相場として、たとえば「介護型」に要介護度2で入居した場合は15万〜40万円程度です。そのほかに敷金として数十万円程度かかることもあります。

入居費用が比較的安い「グループホーム(認知症対応型生活介護)」

「グループホーム(認知症対応型生活介護)」とは、民間企業のほか、医療法人やNPO法人、社会福祉法人なども運営する、認知症高齢者などを対象に少人数で共同生活を行う介護施設です。

グループホームの定員である1ユニットは5〜9名で、1つの事業者におけるユニットの最大数は、原則2ユニット(18人)以下となります。

要介護度2以上の方が対象で、入居できる年齢は原則65歳以上です。医療ケアが必要になった場合や、入居時よりも介護度が重くなるなど、共同生活が難しいと判断された場合は退去しなければなりません。

グループホームは入居費用が安く、月額15万〜30万円ほどが相場です初期費用も数十万円程度なので、介護施設の中では比較的リーズナブルといえるでしょう

介護施設を探す際のポイントは?

受け入れ可能な介護施設やタイミングがわかったところで、最後に施設探しで気を付けたいチェックポイントを紹介します。

入所後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、施設選びの参考にしてください。

認知症が悪化したり医療ケアが必要になったりした場合の対処方法

認知症の人を受け入れていたり、「認知症でも終身利用可」と謳っていたりする介護施設でも、入居後に症状が悪化したりすると退去を求められる可能性があります

たとえば、他の入居者やスタッフへの暴力、暴言、奇声、器物破損などの迷惑行為があれば、退去を勧告されるのが一般的です。

医療ケアが必要になり、施設の体制では対応できないケースや、病気による長期入院が必要なケースも同様です。

入居前に「トラブルを起こした際や、医療ケアが必要な場合の対処方法や退去要件」について、しっかり確認しておくことが大切です。

入居者の様子や暮らしぶり、スタッフの様子

実際に施設を見学する際は、「入居者の身だしなみに清潔感があるか」や「入居者が笑顔で過ごせているか」など、すでに入居している人の様子や表情に注目しましょう。

施設で働く職員の対応も判断材料です特に共有部分の清掃がおろそかだと、スタッフの人手が足りていない可能性があります。

人手不足の施設は労働環境が悪化し、従業員の離職が増える傾向があるため、提供されるサービスの質が低下することも十分に予測できます。

まとめ 施設入所に必要な身元保証人がいなかったら、まずはシルバーライフ協会に相談してみよう

この記事では、認知症の家族を施設に入居させるタイミングや、各介護施設の費用などを解説しました。

今の時点で認知症の人を自宅で介護できるとはいえ、症状が重くなってから施設探しするのでは手遅れなケースもあります。介護者の気力も体力もあるうちに、施設探しを始めてみてはいかがでしょうか。

また単身高齢者の方は、自ら「介護施設に入りたい」と思っても、施設入所に必要な身元保証人がいないことが原因で入居できないケースもあります。

一般社団法人全国シルバーライフ保証協会では、身寄りのない方と身元保証契約を結び、介護施設に入居する際の保証人・身元引受人を代理することでご希望の施設への入居を支援しています。

介護施設への入居でお悩みの方は一般社団法人全国シルバーライフ協会にご相談ください。

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この記事の担当者

大倉 弘行シルバーライフカウンセラー│東京シルバーライフ協会代表理事│BF・H株式会社常務取締役

大倉 弘行シルバーライフカウンセラー│東京シルバーライフ協会代表理事│BF・H株式会社常務取締役

2009年ベストファームグループ入社。2013年から高齢者の身元保証、任意後見、死後事務委任等のサービス「オーカスタイル」の立ち上げに従事。2019年 東京シルバーライフ協会代表理事として、同グループの高齢者支援事業の責任者を務める。

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