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認知症で要介護認定を受けるには?手順や基準、利用できるサービスも紹介

健康/認知症

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家族が認知症になり介護が必要になったときは、要介護認定を受けることでさまざまな介護サービスを利用できます

しかし「要介護認定を受けるにはどうすればいいの?」「どのような介護サービスが受けられるの?」といった疑問を抱く人も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、要介護認定を受ける方法やランクごとのサービス内容、申請時の注意点などの基本事項を詳しく解説していきます

認知症の要介護認定を受けるには?

介護保険制度では、寝たきりや認知症などで常に介護が必要となったとき、介護の必要度合いに応じ、介護相談、訪問介護、デイサービス、ショートステイ、施設入居、住宅改修といった介護保険サービスを利用できます

通常は65歳以上の人が介護保険サービスを利用できますが、若年性認知症など特定疾病に該当する方は40歳〜64歳も対象です。

この章では、要介護認定の基本や申請の手順について解説します。

認知症の要介護認定とは?体は元気でも必要度が高くなることもある?

要介護認定とは、どの程度の介護が必要かを判断するものです。病気の重さと介護(介助)の内容は、必ずしも一致しません。

同じ認知症でも、体が元気で徘徊が多い人と、寝たきりで徘徊しない人では、前者のほうが介護の必要度は高くなるでしょう。

要介護認定の申請方法は「市区町村の窓口」または「地域包括支援センター」

要介護認定の申請は、本人もしくは代理人である家族などが行います。申請先は原則「市区町村の窓口(介護保険課など)」ですが、「地域包括支援センター」が手続きを代行しているケースもあります。

地域包括支援センターがカバーするエリアは自治体によって異なるものの、基本的には公立中学校の学区を基準としたエリア(おおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域)ごとに設置されています。

要介護認定を受ける流れとは?訪問調査や医師の意見書が必要?

要介護認定を申請すると、研修を受けた市区町村の職員、もしくは居宅介護支援事業者の介護支援専門員による訪問調査(実際にどのような心身の状態にあるのか)が行われます。調査内容は全国共通です

さらに市区町村からの依頼により、申請者のかかりつけ医による意見書が作成されますかかりつけ医がいない場合は、主治医を決めて意見書を作成してもらわなければなりません。

調査員による心身の状況調査と主治医の意見書に基づき、まずはコンピューターによる1次判定が行われ、その後、保健や医療・福祉の学識経験者によって構成される「介護認定審査会」の2次判定にかけられます。

最終的な2次判定の結果を基にして、市区町村が要介護度を認定し、本人に通知します。申請から通知までの期間は、一般的に30日以内といわれています。

要介護認定を受ける最大のメリットは介護サービスが利用できること

要介護認定を受けると介護サービスを利用できるので、家族の介護負担が軽減されるでしょう。

自宅で受けられる訪問型の介護サービスには、主に「訪問介護(ホームヘルプ)」「訪問入浴介護」「訪問リハビリ」「訪問看護」があり、また通所型の介護サービスとして、「デイサービス「デイケア(訪問リハビリステーション)」「ショートステイ(短期入所)」などを挙げることができます。

他にも、訪問と通所の複合型として、小規模多機能型居宅介護(通所・訪問・泊まりのサービスを1つの事業所で提供するところ)や、住宅環境を整えるための福祉用具のレンタル、特定福祉用具の購入、住宅の改修といった介護サービスも受けられます。

ただし判定結果によって7つのランクに区分される

介護サービスについて説明しましたが、「どのようなサービスを利用できるのか」に関しては、認定調査による要介護度で変わります。

要介護認定のランクは、以下の7つに分けられます。

「要支援1」「要支援2」「要介護1」「要介護2」「要介護3」「要介護4」「要介護5」

要支援1から要介護5まで上記の順番で、必要な支援・介護の度合いが大きくなります。つまり、要支援1よりも要介護2、要介護度4よりも要介護度5の方が、支援・介護の度合いが重い高いということです。

この認定度合いによって、介護保険で利用できるサービスや1カ月の支給限度額が変わります

要介護度の低い「要支援」

厚生労働省による要支援の定義には、日常生活上の基本的動作の大半を自分で行えるものの、要介護状態の予防支援などが必要な状態」といった意味があります。

要支援1と要支援2の意味は、以下の通りです。

要支援1 最も軽度で、身の回りの介護は必要ないものの、起き上がりや立ち上がり時など、部分的な支援が必要な状態
要支援2 片足で立つとふらつき、歩く際に杖が必要なこともあり、日常生活での意思決定や買い物で一部支援が必要な状態

認知症等の症状レベルによって判定が変わる「要介護」

厚生労働省による要介護の定義には「日常生活上の基本的動作を自分で行うことが困難であり、何らかの介護を要する状態」といった意味があります。

要介護1〜5のそれぞれの意味は、以下の通りです。

要介護1 食事や排せつは1人でできるが、立ち上がりや歩行に不安があるため、一部介助が必要であったり、認知症によって認知能力や運動能力の低下が見られたりする状態
要介護2 要介護1の状態に加えて、認定症で理解力が低下していたり、トイレや入浴といった日常生活での見守りや介助が必要であったりする状態
要介護3 要介護2の状態と比較して、理解力の低下や問題行動が見られたり、立ち上がりや歩行が1人でできなかったりする状態
要介護4 要介護3の状態に加え、トイレや食事、着替え、入浴など全面的な介助が必要だったり、認知症による思考力や理解力の低下によって意思疎通が難しかったりする状態
要介護5 要介護4の状態よりも、さらに動作能力が低下していて、日常生活全般で介助が必要であり、介護なしには日常生活を営むことがほぼ不可能な状態(1日中寝たきりで意思疎通も困難など)

※参考URL:厚生労働省「介護保険制度における要介護認定の仕組み」

要介護度の認定区分によって支給限度額が変わる!費用の目安を紹介

要介護認定度の区分によって、1カ月の区分限度額(介護保険から給付される1カ月あたりの支給上限額)が定められています。区分限度額まで1〜3割の負担で、介護サービスを受けることが可能です

ただし、基本的に在宅で利用する介護保険サービスが対象です。

特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院といった「介護保険施設」に入所して利用する場合は、支給上限額は適用されません。特定福祉用具販売や住宅改修費の支給も対象外です。

区分による支給上限額は、以下の通りです。

【介護保険サービスの支給上限額1カ月の目安】(居宅サービス/基準額)

要支援1 5万320円(1割負担:5,032円)
要支援2 10万5,310円(1割負担:1万531円)
要介護1 16万7,650円(1割負担:1万6,765円)
要介護2 19万7,050円(1割負担:1万9,705円)
要介護3 27万480円(1割負担:2万7,048円)
要介護4 30万9,380円(1割負担:3万938円)
要介護5 36万2,170円(1割負担:3万6,217円)

※介護報酬の1単位を10円として計算
※出典:厚生労働省「2019年度介護報酬改定について」

なお、区分の支給上限額を超えた分は自己負担となります

その人に最適なケアプランはケアマネジャーが作成してくれるため、「どのくらいの範囲で利用したいのか」を相談してみるとよいでしょう。

要介護認定の区分によって、利用できない介護施設も!

要介護認定の区分によっては利用できない介護施設があります。主な施設は、以下の通りです。

施設の種類 要支援・要介護度 サービス内容など ポイント・注意点
特別養護老人ホーム 原則、要介護3~ 全般的な介護 終身利用可
グループホーム 要支援2~(認知症対象) 認知症ケアの専門職を配置 重症化によって退去の可能性あり
介護付き有料老人ホーム 施設によって異なる 施設内で介護サービスを提供 重症化によって退去の可能性あり
住宅型有料老人ホーム 施設によって異なる 介護は外部事務所と契約して提供 重症化によって退去の可能性あり

特別養護老人ホームは原則、要介護3以上が対象ですが、認知症の場合は要介護1~2でも入所できるケースがあります

グループホームは認知症の高齢者が対象なので、要支援2から入所可能です。ただし医療ケアが必要になったり、認知症の進行が進んで重度化すると退去を求められたりするのが一般的です。

介護付き有料老人ホーム・住宅型有料老人ホームは民間企業が運営しているため、それぞれの方針によって入居条件は異なります。ただし認知症の進行が進むと、グループホーム同様、退去が必要な場合もあるでしょう。

入居前に「どこまでの受け入れに対応しているのか」を各施設に確認することが大切です。

認知症の家族が入所できる施設は?入所タイミングや費用も解説

判定に不服も?認知症で要介護認定を受ける際に気を付けるべきこと

認知症になった場合、基本的に要介護認定を受けられるケースが多いでしょう。しかし中には、認定された区分に納得がいかず、認定直後にやり直しを求める人もいます。

要介護認定をやり直す場合の不服申し立て(審査請求)の申請期限は、認定結果の通知を受けた翌日から3カ月以内です。

審査の請求先は、都道府県に設置されている「介護保険審査会」になります。

審査請求すると「認定結果が妥当だったのかどうか」の審査が行われ、請求者の主張が認められた場合は市区町村の決定の全部、または一部が取り消され、要介護認定をやり直すことになります。

なお、認知症の場合、申請内容では読み取れない介護の手間が反映されなかったり、申請時にできなったことが調査時に可能になったりするなど、日によってばらつきが出るかもしれません。

そうなると1次判定でコンピューターが要介護1と判定しても、2次判定の有識者チェックで要支援2になることも。逆のパターンもあるので、正しく判定してもらうためにも調査内容を事前に確認し、正確に答えられるようにしましょう。

調査内容に関しては、厚生労働省のHPにある認定調査票が参考になります。

訪問調査時には、状況を理解している家族の立ち会いも重要です。介護していない家族が立ち会うと、実際の状況とずれが生じることがあるからです。

居宅介護支援事業を利用している場合は、担当のケアマネジャーと事前に相談し、訪問調査に同席してもらってもよいでしょう。

※参考URL:厚生労働省「認定調査票」

まとめ 介護認定を申請する人が身近にいないならシルバーライフ保証協会に相談してみよう

介護サービスを利用する際は、事前の要介護認定が必要です。ただし要介護認定の区分(要支援1〜要介護5)によっては、利用できないサービスもあるので注意しましょう。

単身の高齢者の中には、「もし自分が認知症になったら…」と不安を抱えながら暮らしている人も多いのではないでしょうか。もし自分以外に要介護認定の申請ができる家族がいないなら、認知症になる前に任意後見制度の利用を考えてみてはいかがでしょうか。

シルバーライフ保証協会では、任意後見サポートを提供しています。万が一、認知症で判断能力が低下した場合に備えて、元気なうちに任意後見契約を公正証書で契約。後見開始が必要と判断された際には、弊協会が任意後見人となりサポートします。

他にも入院身元保証や生活事務サポート、 エンディングサポートなど、高齢者ご本人や家族の悩みに沿ったサービスを提供しています。ぜひご相談ください。

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この記事の担当者

大倉 弘行シルバーライフカウンセラー│東京シルバーライフ協会代表理事│BF・H株式会社常務取締役

大倉 弘行シルバーライフカウンセラー│東京シルバーライフ協会代表理事│BF・H株式会社常務取締役

2009年ベストファームグループ入社。2013年から高齢者の身元保証、任意後見、死後事務委任等のサービス「オーカスタイル」の立ち上げに従事。2019年 東京シルバーライフ協会代表理事として、同グループの高齢者支援事業の責任者を務める。

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