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「相続した建物が未登記だった」必要な手続きは?

ご家族がお亡くなりになって相続手続きを進めていると、「登記簿謄本(登記事項証明書)に実家の家屋が載っていない!」といったことがあります。このような建物を「未登記建物」といいます。本記事は、相続時に未登記建物が発覚してお困りの方に、正しい対処法や手続きについてお伝えします。

相続手続きを進めていたら建物が「未登記」だった!

司法書士としてたくさんの相続手続きをお手伝いしていると、未登記建物はそれほどめずらしい物ではなく、相続時のよくある問題のひとつです。未登記建物とは具体的にどういう状態なのかを解説していきます。

未登記建物とは?

不動産登記とは、土地や建物が誰のものなのか、公的にはっきりさせるために記録することです。不動産登記を行うと、土地と建物は別々に登記され、ひとつの不動産ごとに登記簿謄本(登記事項証明書)が作成され、一般に公開されます。

登記簿謄本(登記事項証明書)は、次の3つのパートに分かれています。

  • 表題部 ・・・どこにどのような不動産があるのかを記載(所在や地番、地目、地積など)
  • 権利部(甲区) ・・・不動産の所有者が誰かを記載
  • 権利部(乙区) ・・・抵当権など所有権以外の権利などを記載

表題部の登記を「表題登記」、権利部(甲区・乙区)の登記を「権利登記」といいます。土地を購入したり、家を建てたりした場合には、1か月以内に「表題登記」を行うことが法律で義務化されています。しかし、この義務がきちんと果たされず、建物が建っているのに登記されていない、表題登記しかされていない、表題部の内容が古いままの記載(例えば増築部分が反映されていないなど)になっているといったことがあります。このような登記記録上で所有者や所在が不明または不正確な建物が「未登記建物」とされます。

未登記のままとなってしまう理由

ひとつ目は、自己資金だけで建物を建てた場合に起こりえます。住宅ローンを利用している場合は、融資元である銀行などが建物に抵当権を設定するため登記を求めてきます。しかし、自己資金だけで建物を建てる場合、登記をせずとも支障がないので、登記されないままになっているケースがあります。それゆえ未登記建物は、住宅ローンが普及する前に建てられた古い建物に比較的多く存在します。

次に、意図的に「表題登記」までしか行わなかったケースが考えられます。先程述べたように、表題登記は義務である一方、「権利登記」は任意です。さらに「権利登記」をすると登録免許税という税金の支払いが発生するため、意図的に義務である「表題登記」だけ行う人がいたようです。

その他、母屋は登記されているのに、後から増築した部分の登記を失念して未登記となっているといったケースもあるようです。

未登記建物の相続手続き

普通の相続登記との違い

不動産を相続で引き継ぐ場合、通常は登記簿謄本(登記事項証明書)上の所有権者の名義を被相続人(亡くなった人)から相続人に変更する「所有権移転登記」手続きを行います。これが普通の「相続登記」です。しかし、そもそも登記記録が存在しない未登記建物の場合、所有権移転登記ができないので、建物の「表題登記」から手続きを開始する必要があります。この際に、その建物の所有権を証明する資料を法務局に提出する必要がありますが、古い建物の場合は、この資料が見つからないことがあり、手続きがより複雑になることがあります。

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未登記建物も相続財産

未登記建物も相続財産として扱われます。相続人が複数いる場合は、全員で話し合い(遺産分割協議)、誰が引き継ぐか決めてください。もし未登記建物の存在を知らず、遺産分割協議後に新たに見つかると、その未登記建物について改めて全ての相続人で話し合わなければいけません。遺産分割協議が平穏に終わった場合は良いですが、もめてしまった場合に再度集まるのは大変な労力になります。もし未登記建物が存在する疑いがあるなら、しっかりと調査しましょう。

未登記建物の探し方

未登記建物の一番かんたんな調査方法は、固定資産税の納税通知書に付随している課税明細書を確認することです。課税明細書には、所在地や床面積などと並んで「家屋番号」という項目が表示されています。もし家屋番号が「空白」または「未登記家屋」となっていれば、その建物は未登記です。一方、登記済みの建物であれば、家屋番号欄には数字が並んでいるはずです。納税通知書が見つからない場合は、「名寄帳」を取り寄せて確認するという方法もあります。名寄帳については、別の記事で解説いたします。

check! なぜ未登記なのに納税通知書が届くのか!?

登記は国の法務省で管理されるのに対し、固定資産税は市町村で管理されます。登記は不動産を所有する人が自ら申請するもので、法務局が新築不動産を探して登記してくれるわけではありません。それに対し、市町村役場は独自の空撮や巡回で新築建物を見つけて、登記情報の有無に関係なく課税します。これによって、未登記だけれど課税はしっかりされているという状態が生まれます。

未登記建物も相続手続きの流れ

誰が未登記建物を引き継ぐか決める(遺産分割協議)

相続人全員で誰が未登記建物を相続するのか話し合って決めてください(遺産分割協議)。その際、未登記建物の価値を分かった上で協議を進める必要があります。未登記建物は、本来登記簿謄本(登記事項証明書)を見れば分かるはずの面積や構造などの情報がないので、建物を正しく評価するために専門家に相談した方がよい場合もあります。

遺産分割協議書を作る

遺産分割協議書には、所在や床面積など建物を特定する表題部の情報が必要ですが、未登記建物にはその情報がありません。課税されている場合は、固定資産税の評価証明書の記載を引用して代替します。次のような記載になります。

所在福島県郡山市○丁目○番
種類居宅
構造○造○○▲階建て
床面積  ▲階  ○○㎡▲階  ○○㎡
上記建物は未登記のため名寄帳兼課税台帳・固定資産評価証明書の記載による。

表題登記をする

建物の所在地を管轄する法務局で表題登記を行います。表題登記の申請に必要な書類には次のようなものがあります。

<表題登記に必要とされる書類の例>

  • 所有権証明書 ※固定資産税の納付証明書など、場合により異なります
  • 建物図面や各界平面図
  • 登記申請書
  • 申請する人の住民票
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍
  • 相続人全員の戸籍・印鑑証明書
  • 遺産分割協議書

表題登記の専門家は「土地家屋調査士」です。自分で行うのは難しいと感じたら、一度相談してみましょう。

所有権保存登記をする

前述した通り、その建物の所有者を明確にするには「権利登記」が必要です。権利部(甲区)に対し、初めて行う登記を「所有権保存登記」といいます。建物を引き継ぐ相続人が決まっているのであれば、その方の名義に登記しましょう。

<所有権保存登記に必要とされる書類の例>

  • 所有権保存登記の申請書
  • 住宅用家屋証明書 ※減税の要件をみたしている場合
  • 申請する人の住民票

所有権保存登記の専門家は「司法書士」です。ベストファームには前述した土地家屋調査士も司法書士も在籍しています。

建物を取壊しする場合

滅失登記をする

未登記建物を解体するつもりなら、表題登記は必要ありません。解体したら必ず自治体に「家屋滅失届出書」を提出してください。そういないと、固定資産税が課税され続ける可能性があります。

未登記建物の手続きをしないとどうなるか?

「表題登記」部分の申請は義務(不動産登記法)

再度お伝えしますが、表題登記は法律で義務付けられています。もし申請を怠った場合、どうなるでしょうか?不動産登記法47条1項には、「新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない」と規定されており、さらに第164条には申請を怠った人には10万円の過料が科せられると明記されています。つまり、表題登記を1か月以内に行わなければ、違反者は罰として10万円を支払う必要があります。

しかしながら、現実には未登記の建物は多く存在しており、違反者を厳格に取り締まっているわけではないようです。だからといって、法律違反の状態を放置するのはもちろん良くありませんし、未登記建物には次のようなデメリットがありますので、登記はきちんと行いましょう。

未登記建物のままにしておくデメリット

固定資産税などで損をする

住宅が建っている宅地に対しては、土地の固定資産税が最大で1/6、都市計画税が最大で1/3に減額される軽減措置が適用されますが、建物の登記がされていない場合はこの減額措置を受けることができません。もったいないですね。

過去分の固定資産税を請求されてしまう

未登記建物でかつ固定資産税を支払っていない場合は、自治体に建物の存在を知られると過去の未納分の固定資産税が請求されることになります。築年数が古い建物ほど未納の期間が長くなり、支払わなければならない税額が高額になる可能性があります。注意しましょう。

担保提供できない

未登記建物を担保に金融機関からお金を借りることはできません。未登記建物は登記簿謄本(登記事項証明書)自体が存在しないので「抵当権設定登記」ができないからです。また、未登記建物とその土地を相続した場合に、土地のみを担保に入れて融資してもらうことも現実的ではありません。融資が滞った際の回収手段として抵当権を設定しているので、債権回収時に支障が出るかもしれない未登記建物がある土地は、担保として認められにくいでしょう。

自分のものと主張できない(対抗要件を満たさない)

法律上の権利を第三者に対して主張するために必要とされる要件のことを対抗要件といいます。未登記建物は、この対抗要件を満たさず、第三者に対して自分が所有者であることを主張することができません。借りた土地に建てた建物に未登記のまま住んでいる場合は注意が必要です。もし土地の地主が土地を売却し、新しい地主となった人から立ち退きを要求された場合、未登記建物のままでは所有権や土地の借地権を正しく主張できず、立ち退きを拒むことが難しくなります。

建物の取引が難しくなる

未登記のままでの売買は法律的には出来ないこともありませんが、現実的ではありません。未登記建物は登記情報自体が存在していないため、そのままでは新しい所有者へと所有権移転登記ができません。つまり、登記上では持ち主不明の建物で、しかも購入しても自分の所有権を主張できない建物ということになります。また、もし買い手側がその建物を金融機関から融資を受けて購入したい場合、前述したように抵当権をつけることができないので、融資を受けることも出来ません。これらを踏まえると、未登記建物のままでの売却は現実的には困難であると考えられます。

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まとめ:未登記建物の相続はとても複雑になる

いかがでしたでしょうか?未登記建物の相続は、通常の相続登記よりも複雑になることがほとんどです。ご自身ですべて対応するのはかなりの負担になることでしょう。ベストファームには、司法書士、土地家屋調査士、測量士が在籍しており、未登記建物の問題には包括的に対応できます。お困りの際は、お気軽にご相談ください。

この記事の監修者

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司法書士斉藤圭祐

ベストファーム司法書士法人 代表社員/相続・生前対策の専門家/相続手続き、生前対策、遺言書作成、家族信託、成年後見、不動産登記、商業登記、事業承継など幅広く対応しています。

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