ベストファーム司法書士法人が運営する"相続登記"専門サイト|司法書士が相続登記の関係法令や手続き方法をわかりやすく解説します

無料相談|電話予約ご相談はお近くの店舗へ

通話料無料で相続登記の相談予約 0120-165-246

※ご相談には面談が必要です
※お電話のみでのご質問には回答できません。

無料相談を予約する24時間受付中

Webで相続登記の相談予約 Webで相談予約

検索

相続登記をキーワードから探す

「抵当権付き不動産を相続した」必要な手続きは?

不動産に抵当権がついていることは珍しいことではありません。なぜなら住宅ローンを組んで住宅を購入した場合、購入する住宅に金融機関が抵当権を設定することが一般的だからです。では、マイホームの所有者が住宅ローン完済前に亡くなった場合など、抵当権がついたままの不動産を相続する場合、相続人(遺産を引き継ぐ方)は何に注意をしたらよいのでしょうか?今回は抵当権がついている不動産を相続する場合の対処法や手続きについて解説していきます。

相続した不動産に抵当権がついていたらまずは内容を確認

抵当権とは?

抵当権とは、不動産などの財産に対し、債権者(お金を貸す側)が設定する担保権のことです。担保とは、債務者(借金する側)が返済できなくなる事態に備えて、債権者(貸し付ける側)が回収するための手段を確保しておくためのものです。身近な例は住宅ローンで、ローンを組む際には、必ず貸し付ける側の金融機関が購入する不動産を担保として抵当権を設定します。こうしておくことで、金融機関は万が一返済が滞ってしまったら、その住宅を差し押さえ、強制的に売却し、その代金を債務に充当することができます。抵当権は借金がすべて返済されるまで有効です。つまり、不動産に抵当権が付いているということは、元になる借金があるということになります。

故人が作った借金でも相続で抵当権は消えない

不動産の抵当権が、相続で取得したからという理由で無効になることはないです。相続する場合、財産だけでなく借金も相続人に引き継がれるため、不動産を相続するなら抵当権とその元となる借金も一緒に相続することになります。「故人が作った借金だから自分には関係ない」と借金を見てみぬふりをし続ければ、不動産はたちどころに競売にかけられ、売却されてしまいます。抵当権が付いている自宅を相続して住み続けたい場合は、借金への対処を考えなければなりません。

抵当権の内容を確認する方法

相続した不動産に抵当権が設定されているかどうか分からない場合は、登記簿謄本(登記事項証明書)で確認してください。登記簿謄本(登記事項証明書)の「権利部(乙区)」に抵当権に関わる事項が記載されており、順位(抵当権は複数設定されることもあり、それらが設定された順番)、抵当権の権利者名(融資した金融機関など)、債権額(借金の額)、抵当権が設定された年月日などが分かります。登記簿謄本(登記事項証明書)は法務局で取得しましょう。

権利部(乙区)を見る際の注意点① 現在の借金の金額は反映されていない

登記簿謄本(登記事項証明書)に記載されている「債権額」は、抵当権を設定した当時に、いくらの債務について、その不動産が担保しているのかを表しているだけです。つまり、債権額には返済状況が反映されていないため、相続のタイミングで残債がいくらなのかはこの記録からは分からないのです。

権利部(乙区)を見る際の注意点② 抵当権が付いていても完済していることがある

登記簿謄本(登記事項証明書)上の抵当権の記録は借金を完済したら自動的に消えるわけではなく、当事者が記録を抹消する手続きをしないと消えません。借金を完済しているにもかかわらず、手続きをしていないことで抵当権の記録だけが残ってしまっているケースがあります。

抵当権の元となる借金について現状を確認するなら債権者に

上記のとおり、登記簿謄本(登記事項証明書)だけでは借り入れの現状までは分かりません。もし抵当権の元となる借金に相続人がまったく心当たりがない場合は、登記簿謄本(登記事項証明書)に記載のある債権者に確認してください。なお、債権者が銀行などの金融機関ではなく、全く知らない第三者であることもあります。

抵当権がついている不動産を相続した場合のやるべきこと

抵当権がついている不動産を相続する場合、故人が残した借金の額と財産の額を比べる必要があります。そのため、保険の加入有無や、相続する不動産の現在の価値、その他の遺産の内容を正確に調査する必要があります。

団体信用保険で債務が返済できるか確認

団体信用生命保険に加入していると、住宅ローン利用者が死亡などの理由で返済できなくなると、住宅ローンの債務が完済されます。また「団体信用生命保険」への加入は、住宅ローンの条件となっていることも多くあるため、団体信用生命保険の加入有無は必ず確認してください。書類などから加入しているかどうか分からない場合は、借入を行っている金融機関に照会すれば分かります。その後、団体信用生命保険を適用する場合は、金融機関にて保険金の請求手続きを行います。なお、団体信用生命保険は、死亡日から3年以上経過すると保険金の請求手続きができなくなる可能性があります。早めに手続きを進めましょう。

不動産がアンダーローンで売却により完済できるか確認

アンダーローンとは、抵当権がついている不動産の価値が、住宅ローンの残債より高い状態のことをいいます。この場合、不動産を売却して借金を完済するという選択肢が選べます。そのため、抵当権が付いている不動産を相続する場合、相続時点の債務額とその不動産の時価も確認することが重要です。不動産の価値は、不動産仲介会社で査定してもらえます。なお、当社ベストファームグループには、グループ傘下に不動産の仲介会社もありますので、査定から相続手続きまでワンストップで対応できます。

遺産と借金の合計がマイナスなら相続放棄を検討

繰り返しになりますが、抵当権がついている不動産には元となる借金があります。また、相続人は欲しい財産だけを相続するということはできず、借金も相続することになります。もし、抵当権の元である借金の総額が相続する財産全体よりも多い(借金だけが残る)場合は、借金も資産もどちらも相続しない「相続放棄」を検討しましょう。この場合は、資産も引き継がない代わりに、借金の返済義務も無くなります。ただし、相続放棄には次のような注意点があります。

相続放棄には期限がある

相続放棄には期限があります。被相続人の相続開始を知った時から3か月以内(通常のケースでは亡くなったことを知ってから3か月以内)に行わなければならないと法律で定められています。

相続放棄はやり直しがきかない

相続放棄はやり直しがききません。もし放棄した後に後から高額な財産が見つかり、やっぱり相続したい!と考え直しても、やり直しはできません。

相続放棄で他の相続人に借金の取り立てがいく可能性

相続放棄は相続人一人ひとりが行うものであり、相続人のうち誰かひとりだけが相続放棄した場合、その次の順位の相続人に返済義務が引き継がれます。つまり、亡くなった人の兄弟姉妹も含め、法定相続人全員が相続放棄しないかぎりは、親族の誰かのところに借金の返済義務が残ることになります。しかも、相続放棄の手続きがされたとしても、他の相続人たちへ通知がいくことはないので、借金の取り立てが来てはじめて借金を背負わされたことに気づく可能性もあります。もしこのようなことが起これば、親族間で大きなトラブルに発展することは避けられないでしょう。

つまり、抵当権がついている不動産を相続する場合は、相続財産と負債をしっかり調査し、マイナスならば全ての相続人と相続放棄するか否か決めるという作業を、3か月以内に行わなければならないというわけです。これはかなりの負担を強いられることになります。

相続して借金を返済するなら債務者変更登記

抵当権がついている土地・建物に相続人が居住している場合など、借金を相続することになったとしても相続放棄を選択したくないこともあります。このような場合は、抵当権つきの不動産と借金を両方とも相続し、相続人が返済を続けていくことになります。通常の相続と同じく、まずは「相続登記」を行って不動産の名義を相続人の名義に変更し、その後に「債務者変更登記」を行ってください。ただし、これらの手続きは、法律知識が無い方にはちょっとハードルが高いので、司法書士に相談しましょう。

遺産と借金の相続がプラスかマイナスかはっきりしないなら限定承認

「限定承認」とは、相続財産から故人の借金などを精算し、残った財産だけ引き継ぐという方法です。つまり、引き継ぐ財産がプラスになる範囲で、マイナスの財産も相続し、相続財産の範囲を超えて故人の債務を返済する必要はありません。故人の遺産がプラスになるかマイナスになるかはっきりしない場合は限定承認を利用しましょう。限定承認についても相続放棄と同じ期限が設定されています。

第三者の債務を担保している場合

不動産に設定される抵当権は、住宅ローンなど故人が抱えていた借金についてだけでなく、故人以外の第三者の借金のために設定されることもあります。このような場合は、第三者に返済義務があるため、相続人は相続しても返済する義務はありませんが、第三者が借金を完済するまで抵当権は残ります。そのため、第三者の返済状況により、いつ所有権を失い、損害を受けるか分かりません。このリスクを考え、遺産分割時の不動産評価では、第三者の債務の残額を不動産評価額から差し引いた金額で遺産分割を行うことをお勧めします。

まとめ:抵当権付きの不動産の相続は難しい

このように、抵当権付きの不動産を相続する場合は、相続放棄も選択肢に入るので3か月の間にたくさんの情報を集め、相続人全員と話し合う必要があります。出来れば経験豊富な司法書士などの専門家の判断を仰ぎながら、大きな損害を受けないよう慎重に相続を進めていただきたいと思います。

この記事の監修者

アバター画像

司法書士斉藤圭祐

ベストファーム司法書士法人 代表社員/相続・生前対策の専門家/相続手続き、生前対策、遺言書作成、家族信託、成年後見、不動産登記、商業登記、事業承継など幅広く対応しています。

こちらの記事も読まれています