シニアライフを充実させる終活メディア

一般社団法人
全国シルバーライフ保証協会

シニアライフを充実させる終活メディア

一人暮らしの高齢者が抱える問題 快適で安心な老後生活を送るには?

健康/認知症

更新日

公開日

高齢者の一人暮らしには、様々なリスクがつきものです。

本記事では、一人暮らしの老後に不安を抱く方や、一人暮らしをしている高齢の親族を心配している方に、高齢者の一人暮らしにつきまとうリスクやその対処法・予防策を解説しています。

本記事を参考に、一人暮らしでも安心して老後生活を送るための備えを始めましょう。

増加する一人暮らしの高齢者の現状は?

まずは、一人暮らしの高齢者の数の推移や社会問題としての現状について、具体的な数値をもとに解説します。

高齢者数の推移

参照:令和2年版高齢社会白書/内閣府

日本の高齢者数及び、総人口に占める高齢者の割合は年々増え続けています。

総務省の調査によると、65歳以上の高齢者数は2021年には3,621万人でしたが、2022年には3,627万人にまで増加しました。

65歳以上の高齢者が総人口に占める割合も、2022年には29.1%という過去最大の数値を記録しています※。

高齢化が進んでいるのは日本だけではありません。先進諸国はおしなべて少子高齢化が進んでおり、各国は少子化対策に奔走しています。

とはいえ、先進諸国の中においても、日本が少子高齢化の最前線にいることは間違いないでしょう。

現に、2022年における日本の高齢者人口は、世界で2番目に高齢者人口の比率が高いイタリアを総人口に占める65歳以上人口の割合で約5%も上回っています※。

※出典:総務省統計局|統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-

一人暮らしをしている高齢者の割合

高齢者(65歳以上の方)のいる世帯は増え続けています。2019年時点では、高齢者がいる世帯の数は、全世帯(5,178万5,000世帯)の約半分にあたる2,558万4,000世帯でした※。

世帯の構成にも変化が見られます。

1980年には、親世帯、子世帯、孫世帯という三世代世帯が全体の約50%を占めていましたが、2019年には夫婦のみの世帯か単身世帯がそれぞれ全体の30%を占めるに至りました※。

また、世帯構成の変化に伴って、一人暮らしをしている高齢者の数も増加しています。1980年と2019年それぞれの時点における、一人暮らしの高齢者世帯の割合を比較するとその差は歴然です。

1980年時点では一人暮らしの高齢者(男性)は全体の4.3%でしたが、2019年には約3.5倍の15.0%にまで増加しています。

同じく、一人暮らしの高齢者(女性)も、1980年には全体の11.2%だったのが、2019年には22.1%と、ほぼ2倍に増加しました※。

一人暮らしの高齢者世帯が増加している原因として挙げられるのが、核家族化や少子高齢化です。

また、高齢者自身が、家族との同居よりも自立した生活に重きを置くようになったことも、一人暮らしの高齢者世帯の増加の背景にあるとされています。

※出典:内閣府|令和4年版高齢社会白書

高齢者が一人暮らしをするリスクと問題点は?

高齢者の一人暮らしには、様々なリスクがつきまといます。一人暮らしだと身近に頼れる人がいないので「人」に関する問題が高齢者の生活をおびやかすケースは少なくありません。

ここからは、高齢者が直面する一人暮らしのリスクについて、主に「人」の面で引き起こされる問題を一つずつ解説していきます。

病気やけがをした場合のリスク

一人暮らしの高齢者は、病気やけがをした場合のリスクを認識しておく必要があります。

例えば、自宅で病気やけがをした場合に発見が遅れる、というリスクです。

とくに、近隣住民や友人、親族との定期的な交流がないと、異常に気付いてもらいにくいことから、治療が遅れてしまう恐れがあります。

また、入院・手術時の保証人を用意しにくい点も高齢者の一人暮らしのリスクだと言えるでしょう。保証人になってくれそうな親族がいても一人暮らしの高齢者だと遠方に住んでいることは少なくありません。

近所に頼れる親族や友人・知人がいない場合は、保証人探しで苦労を強いられるおそれがあります。

入院時における一人暮らしのリスクはほかにもあります。たとえば、一人暮らしで身寄りがいないと入院中に必要な日用品の準備といった生活の面で協力してくれる方が見つかりにくいというリスクです。

たとえ、身近に家族や友人、知人がいたとしても、自分のために雑事を頻繁にお願いするのは気が引けるものではないでしょうか。

社会からの孤立によるリスク

日本で高齢者の社会的孤立の問題が顕在化し始めたのは、2000年代になってからとされています。社会的孤立のリスクは多岐にわたっており、認知症や孤独死などはその一角に過ぎません。

ごみ屋敷や高齢の引きこもりといった問題も、社会的孤立が引き金となるケースが多いのが現状です。

介護が必要になった場合のリスク

同居人がいれば日常的に歩行や入浴・食事・排せつの補助といった介護をお願いできますが、必要な介護や支援を受けにくいという点も、高齢者の一人暮らしにつきまとうリスクの一つです。

同居人がいなければ介護サービスを頼ることになりますが、認知能力が低下した状態では、介護サービスに必要な手続きや申請を自力で行うのは困難だと言えます。

また、認知能力の低下が進むにつれ、どのような支援や介護サービスを受けるべきなのかを自分で判断することも難しくなっていくでしょう。

さらに、意思能力(自分の意思を表現をする力)が著しく低下すると介護サービスのための契約行為自体ができなくなります。

意思能力のない人が行う法律行為(契約など)は無効であると、民法で定められているからです。

犯罪に遭いやすくなるリスク

一人暮らしをする高齢者は、犯罪に巻き込まれやすいというリスクがあります。

一人暮らしの高齢者が犯罪者に狙われやすいのには様々な理由がありますが、その理由の一つに認知機能の低下があります。加齢に伴って認知機能が衰えれば物事の良し悪しが正常に判断できなくなります。

特殊詐欺の犯罪者は、高齢者のそういった弱みにつけこんで巧妙な手口で詐欺をしかけてきます。

「自分は詐欺に合わない」という自信を持っている人ほど油断をしがちです。警戒心を持たないと詐欺に合うリスクが高くなります。少しでも怪しいと感じたときは周囲の人に相談することが重要です。

近年では、一人暮らしの高齢者が窃盗や強盗といった犯罪にあうケースも増えています。

高齢者は基本的に若者に比べて身体機能が衰えており、抵抗する力も弱いことから、犯罪者に目を付けられやすいのです。

災害や事故の被害に遭いやすくなるリスク

災害や事故の被害に遭いやすくなるリスクも無視できません。

自宅で被災して避難する際、高齢で身体能力が衰えていると歩行の支援がなければスムーズに避難するのは難しいです。

同居人がいなくても近所の方に助けを求めることができますが、それも叶わなければ救助隊員を待つしかありません。避難の遅れが原因で被害に遭うリスクがあります。

また、高齢者の一人暮らしでは、高齢者自身による事故もしばしば問題になります。代表的な事故が、火の不始末による火災です。

同居人がいれば火の不始末を防ぎ、日頃から片付けを手伝うなど、火災のリスクが小さくなりますし、万が一火災が発生しても消火や避難を手伝うことができます。

同居人がいない高齢者は火災発生のリスクや逃げ遅れて被害に遭うリスクを負います。

孤独死のリスク

近年、高齢者の孤独死の増加が社会問題化しています。

2022年11月に日本少額短期保険協会がまとめた第7回孤独死現状レポートによると、孤独死した人の遺体が発見されるまでにかかった日数の平均は約18日でした。

遺体の発見が遅くなればなるほど、孤独死がもたらす問題は大きくなります※。

孤独死がもたらす問題の代表例が、特殊清掃の金銭負担です。孤独死の現場となった部屋が賃貸物件の場合、原状回復のための特殊清掃が必要になります。

特殊清掃とは、遺体の傷みによる室内の汚れを除去するための清掃です。

一般的に、特殊清掃の費用は通常の清掃よりも高額であり、部屋の広さや汚れのレベル次第では数十〜数百万円以上かかる可能性があります。

清掃費用を負担するのは、基本的には孤独死した人の連帯保証人や相続人です。賃貸管理者が負担する場合もあります。

残された親族に思わぬ負債を残さないためにも、孤独死への備えを講じておく必要があります。

※出典:日本少額短期保険協会|第7回孤独死現状レポート

信用面のリスク

一人暮らしの高齢者は社会的信用が低く見積もられやすいことから、賃貸物件への入居は難しいとされています。

高齢になるとバリアフリーが進んだ物件への住み替えも検討しなければなりません。

賃貸物件に住み替える場合、入居審査時に入居希望者の収入や年齢、保証人の有無などがチェックされます。

一人暮らしで、かつ、収入の少ない高齢者は、家賃を安定して払い続けられるか、保証人をちゃんと準備できるかなどについて厳しい目を向けられやすいのが現実です。

また、高齢者の一人暮らしには先述の孤独死の恐れもあることから、賃貸物件の資産価値が下がるリスクを懸念して契約を断る賃貸管理者もいます。

一人暮らしの高齢者は審査時に信用されにくくなるリスクを背負うことになります。

一人暮らしをしている高齢者が抱える問題を解決するには?

ここからは、一人暮らしの高齢者が抱える各種問題の解決策を紹介していきます。それぞれの解決策の特徴を、メリット・デメリットも含めて解説しているので、ぜひ参考にしてください。

親族と同居する

これまでに紹介してきた高齢者の一人暮らしにおける「孤独死」や「社会的孤立」といったリスクや問題は、実子などの親族と同居することで解決できるケースが多いといわれています。

病気やけがの看病もしてくれますし、日常的に介護をしてくれます。保証人も同居する親族に頼めますし、災害で避難が必要になった場合は親族が避難を手伝ってくれます。

社会からの孤立や孤独死(孤立死)を防ぐこともできます。

そもそも子どものいない高齢者など、この選択肢がない人もいます。

一人暮らしの高齢者のなかには、子世帯や親族に介護の負担をかけたくない、お互いに気を遣うといった理由から同居を避ける人もいるでしょう。

しかし、同居が必ずしも子世帯や親族の負担になるとは限りません。

同じ家に住む以上、ゆくゆくは介護面や金銭面で親族の世話になる可能性はありますが、世話になる、という観点で見ればお互い様です。

例えば、子世帯は、親と同居することで幼児の面倒を見てもらえる、家事を折半できるといったメリットがあります。

同居は、片方だけの負担ではなく、安心して生きていくための助け合いの一環だと考えてみてはいかがでしょうか。

また、そもそも老親を一人暮らしさせるのは不安だから同居しておきたいと考える子世帯も少なくありません。

子世帯や親族に対する遠慮はひとまず置いておいて、まずは同居したいという希望を伝え、話し合うところから始めてみましょう。

見守りサービスや安否確認サービスを利用する

親族との同居が難しく、一人暮らしを続けていく必要があるという高齢者には、自治体や民間事業者の見守りサービスや安否確認サービスの利用がおすすめです。

例として、ここでは、大阪市の「緊急通報システム」という緊急時通報型の見守りサービスを紹介します。

大阪市は、65歳以上の一人暮らしの方や高齢者のみの世帯等を対象に、緊急通報用の小型機器を月額制(所得税非課税世帯は無料)で貸し出しています。

「緊急通報システム」の利用者は、自宅で助けを必要とするときに、携帯用小型機器のストラップを引っ張るか、固定機器のボタンを押すだけで受信センターと通信でき、救急車の手配や親族への連絡をしてもらえます。

加えて、24時間対応の健康相談や生活状況のお伺い電話(年1回)といったサービスの利用も可能です。

サービスの内容は、自治体や事業者によって異なります。自治体の見守りサービスだけでは不安という方は、民間の見守りサービスを状況に応じて利用してはいかがでしょうか。

予算に合わせたプランを組んでくれるサービスもあるので、物は試しで相談してみるのも一手です。

介護サービス(介護保険制度)を利用する

介護サービスを利用することで、高齢者の一人暮らしにおける不安を軽減できます。

介護サービスを利用するには市区町村に要支援・要介護の申請を行い、認定を受けなければなりません。

なお、必ずしも希望通りの要支援・要介護の認定を受けられるとは限らないため、その点は留意しておく必要があります。

要支援・要介護の認定を受けた方は認定のレベルに応じた多種多様な介護サービスを受けることができます。

訪問介護・施設への通所・施設での宿泊といった選択肢の中から、一人暮らしを安心して続けていくために必要な介護サービスを選んで利用しましょう。

なお、介護サービスの利用に際しては、原則としてかかった費用の1割(一定以上の所得がある人は2割又は3割)を自分で負担します。

ただし、先述の通り、認知症を発症しているなど認知能力が低下していると介護サービスに必要な手続きが進められない恐れがあります。

法定後見制度と呼ばれる制度を活用すれば後見人に「身上監護」を任せることが可能で、後見人は介護や入院などに関する法律行為(契約など)を代行できます。

身寄りがいなくても介護サービスを利用できます。

高齢者向け施設を利用する

介護サービスを利用してもなお、一人暮らしを続けるのが難しい場合には、一人暮らしを諦めて高齢者施設へ入居するという選択肢もあります。

高齢者施設の種類は多種多様で、施設ごとに入居条件(要支援度・要介護度のレベル・認知症の状態・自立した生活が可能かどうか、など)があります。

また、入居に必要な費用についても施設ごとに異なるため、まずは条件と予算に合致する施設を探すところから始めましょう。

また、入居にあたり、施設から保証人を求められるケースは珍しくありません。

一人暮らしで保証人を頼める身内や知人が近くにいない場合は、身元保証サービスを提供する民間業者の利用を検討してはいかがでしょうか。

災害や事故に備える

地震などの天災は、いつ、どのような規模で発生するか分かりません。だからこそ、日頃から十分に備えておくことが重要です。

まずは、在宅時に災害が発生した場合のケースを想定して、安全に避難するために必要なあらゆる備えを実施しておきましょう。

たとえば、水、非常食、懐中電灯、簡易トイレ、ラジオといった防災グッズを常備することや、家具に転倒防止の装置をつけること、倒れても出入り口を塞がない位置に家具を移動することなどは、災害に対する最低限の備えだと言えます。

他にも火災のリスクを防ぐために、ガスコンロやストーブなど、出火原因になるものは必ず指差しで一つ一つ消火を確認してからその場を離れる、といった行動を習慣化することをおすすめします。

防犯対策を実施する

一人暮らしの高齢者を狙った犯罪のターゲットにされないためにも、防犯カメラの設置や民間の警備会社との契約といった対策を講じることをおすすめします。

元気なうちからやっておくべき対策とは?

一人暮らしのリスクを軽減したいのであれば、元気なうちからできる限りの対策を講じておくことが肝心です。

別居している子どもや親族がいるのであれば、日頃からコミュニケーションを取るなどして関係を保ち、可能なら同居を打診しましょう。

同居が難しい場合は、万が一のときの対処法や希望を伝えておきます。また、介護サービス利用のための手続きの手助けや見守りといったサポートをあらかじめ子どもや親族にお願いしておくことも重要です。

また、趣味を増やして定期的に連絡を取り合う趣味仲間を増やしたり、地域活動に参加して近所付き合いを増やしたりと、いざという時に頼れそうな方を増やしておくと安心です。

病気や事故の際に頼れる身内や知人がいないのであれば、先述の自治体や民間事業者の見守りサポートを契約しておくことで、不安を軽減することができます。

将来的な意思能力の低下に備えて、専門家との任意後見契約や死後事務委任契約の締結を検討しても良いでしょう。

最後に、当たり前ですが老後資金を備えておくことも大切です。老後資金に関してはこちらの記事をご覧ください。

何事も、転ばぬ先の杖が肝心です。問題が表面化してからでは解決が難しい場合もあるので、「自分は大丈夫」だと過信せずに、予防と対策に注力しましょう。

まとめ 高齢者支援サービスなら全国シルバーライフ保証協会にご相談ください

高齢者の一人暮らしには、様々な問題やリスクがつきまといます。万が一に備えて、元気なうちにできる限りの対策を講じておきましょう。

「備えあれば患いなし」というように、将来起こりそうな問題の予防策や対処法を念入りに検討しておくことで、より快適かつ安心の老後を送ることができます。

一人暮らしの不安を軽くしたい人には、一般社団法人全国シルバーライフ保証協会が提供する身元保証サービス「オーカスタイル」がおすすめです。

一般社団法人全国シルバーライフ保証協会は司法書士法人や行政書士法人といった士業法人で構成されるベストファームグループの一員で、身元保証サービスを始めとして、財務管理やエンディングサポートなど高齢者の様々な悩みを解消するための多様なサービスを提供しています。

まずは、お気軽にお問い合わせください。

この記事のキーワード

この記事の担当者

水久保 博正行政書士|ベストファーム行政書士法人 社員行政書士

水久保 博正行政書士|ベストファーム行政書士法人 社員行政書士

法律事務所勤務を経て、2015年ベストファーム入社、相続・遺言の面談を担当し、現在は、東京シルバーライフ協会の身元引受契約者の生前・死後の委任契約と任意後見契約公正証書、遺言公正証書の作成支援を担当。

水久保 博正が担当した記事を読む

資料請求
相談を申込む