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終活とは?何を準備すればいい?終活でやること

終活

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「人生100年時代」といわれるほど、長寿の方が増えています。長生きするなら、すこしでも健康で充実した日々を過ごしたいものですよね。「終活」という言葉が一般的となって久しいですが、具体的な行動に落とし込めているという方はまだまだ少ないようです。この記事では、終活とは何をやる活動なのか、徹底解説します。わかってはいるけど重い腰が上がらない……という方は、本記事を読むことが終活の第一歩だと思って読み進めてください!

終活には欠かせない、エンディングノートの書き方も紹介します。ぜひお役立てください。

終活とは

終活とは、「人生の最後について考え、準備する活動」を意味する言葉です。人によって終活の捉え方は異なりますが、終活はポジティブな活動と思われていることが多いようです。弊協会の母体であるベストファームグループが行った終活に関する意識調査(アンケート調査)では、回答者の7割以上が、終活を「人生をより楽しむためにポジティブな活動」と回答していました。また、回答者の半数以上が「終活に興味がある」と回答していました。終活への意識が年々高まっているようですね。

出典:終活に関するアンケート調査|回答者の7割が終活は「ポジティブな活動」と捉えるも、行動には至らず PRTIMES

終活をする目的|なぜ終活をするの?

なぜ終活をするのでしょうか?終活の目的は主に次の3つです。

老後の不安を解消して今を楽しむため

心の何処かで不安を感じながらでは、今の生活を楽しめませんよね。介護、病気、生計、遺産、自分の葬儀など、不安の種を挙げればきりがありません。特に頼れる身寄りがない、単身の「おひとりさま」はこうした老後の不安は一層大きいでしょう。終活はこうした老後の不安を解消するために様々な準備を行います。備えあれば患いなし。備えて、不安が和らげば、今の生活を一層楽しめるようになることでしょう。

また、人生の最後から逆算して、豊かな老後を過ごすための資金を確保することも終活のひとつです。

何かあったときに周囲の負担を減らすため

自分の死後のことは誰かを頼らざるをえません。遺体の引き取りや死亡届などの行政手続き、公共料金等の解約、お葬式、納骨の手配など、対応する人には大きな負担がかかります。こういったことも終活で対策ができます。例えば、葬儀資金を準備したり、葬儀社を決めておいたりなどです。自分のエンディングを自分で用意し、その内容を家族や親族に伝えておくことで、安心してもらえます。

こうした死後の手続きを第三者が請け負うことができる契約(死後事務委任契約 ※後述)もあります。終活は自分のためだけでなく、家族・親族の将来的な負担を減らすことにもつながるのです。

親族同士の対立を防ぐため

自分の死後、自分の財産は親族に相続されます。相続が発生すると、親族同士で「遺産分割協議」と呼ばれる協議を行い、財産の配分を決めます。ドラマでもよくありますが、話がまとまらず財産をめぐって親族がもめることが実際にあります。自分の財産のことで親族がもめることは本意ではありませんよね。終活を通して、誰に何を相続してもらうのか決めておき、遺言にしておくことで争いの予防になります。

また、自分の財産を目録にしておけば、相続人がどんな財産があるのか調べる手間も省けます。

参考:終活が注目される背景

生き方の多様性が認められ、核家族が一般的となったことで、いわゆる「おひとりさま」と呼ばれる単身高齢者が増えています。このような「おひとりさま」は、入院・施設入居時の身元保証人や、自分の死後の遺品や葬儀を託せる人がいないことが多く、もしものときに備えておく必要があります。こういった時代の変化が、終活の浸透に一役買っているように思います。

終活は何をする?終活でやることを紹介

終活を具体的に進めるには、何からスタートすればいいのでしょうか。ここでは、終活でやることを紹介します。

終活は持ち物の整理から始めてみましょう

本人が亡くなった後の所持品は「遺品」となり、親族が遺品整理します。身の回りの不用な物を減らして、整理された状態にしておくと、家族や親族の遺品整理の負担が減ります。持ち物の整理は数ある終活の中で、もっとも手軽で誰でも成功体験が積みやすいことがポイントです。何からスタートしたらいいか迷ったらひとまず持ち物の整理を入口に終活を始めてみましょう。

実際に持ち物の整理をする際、まずは自宅の「生活動線」を確認し、よく使う場所を探しましょう。日常生活でよく使う場所から片付けることで変化を実感しやすくなるので、次の行動へのモチベーションにつながります。片付けの際は、一度にたくさん片付けようとしてもうまくいきません。例えば「月曜日は下駄箱」「火曜日は傘立て」など家具や家電単位にして、小分けに取り組むと長続きやすいです。

また、分別の際は「棺にまで持っていきたいもの」と「そうではないもの」の究極の二択で分けて整理すると、自分にとって本当に必要なものが見えやすくなるのでおすすめです。

「デジタル遺品」を残さないように整理する(デジタル終活)

目に見えるものだけが遺品になるとは限りません。パソコンやスマホ上の動画や写真データ、SNS上にアップしたものも遺品の一部です。これらは「デジタル遺品」と呼ばれています。死後に他人に見られたくない物もあるかもしれません。亡くなった父親のスマホに保存されていた動画や画像に遺族がショックを受けたという話もあります。このような事をおこさないためにも、見られて困るようなものは早めに削除しておきましょう。このように、デジタル機器の中身を整理することを「デジタル終活」といいます。

また、自分の死後は誰かがスマホやSNS、オンラインサービスなどの解約手続きを行わないといけません。有料の会員制サービスやサブスクリプション(定額制)サービスは、解約を忘れると費用が発生し続けるため注意が必要です。パソコンやスマホ、SNSのログインIDやパスワードと共に契約状況やアカウント情報などをまとめておいて、家族が解約手続きをスムーズに行えるようにしておきましょう。これらの情報は後述の「エンディングノート」に書き残しておくとよいでしょう。デジタル終活の記事もあります。興味がある方はコチラご覧ください。

終活は「断捨離」は異なる

断捨離は、断行・捨行・離行を指し、執着心を捨て日常生活で不要な物を思い切って捨てたり手放したりすることをいいます。断捨離は身軽になって、快適な生活をえることが目的です。上記のように、終活でも持ち物など身の回りを整理しますが、前述したように、自分だけでなく周囲の人にかかる負担についても考えるという点で異なっています。終活における断捨離や生前整理についてはコチラの記事も参考にしてください。

自分の財産を整理する

前述したとおり、終活は身の回りの整理だけではありません。持ち物の整理と合わせて、財産の整理も行ってください。終活は、自分が死亡した後に遺族が行わなければならない相続手続きと切り離すことができません。色んな金融機関に複数の財産がある場合や引き継ぎが難しい不動産がある場合など、相続手続きを著しく難しくケースがあります。そのため、財産を現金化したり、保険を活用したりして、スリム化しておくと、相続の負担を減らすことができます。もちろん、何歳から終活を始めるかによって、どこまで整理するかは異なりますので、自分のライフステージに合わせて必要なものを残しながらで構いません。財産の整理でやるべきことを個別に説明していきます。

不要なクレジットカードや証券口座などは解約する

まず誰でも簡単にできることとして、クレジットカードの整理です。もしクレジットカードを複数お持ちなら最低限必要なカードを1、2枚に絞り、それ以外は解約しておきましょう。それだけで、遺族が解約手続きする負担が軽減されます。このほか株式などの有価証券もまた、名義人の死後は証券口座の解約や名義変更が必要になります複数の金融機関に資産を保有されている場合は、終活で整理しておくと相続時の家族や親族の負担が減ります。

余談になりますが、認知症になると銀行や証券会社の口座が凍結され、家族であっても資金を資産を移動できなくなるリスクがあります。ある程度の年齢になったら、「今、現金化すると損するかも……」とずるずる保有したままにしないようにすることも大切です。

貯金を把握して不要な口座は解約する

自分が保有しているすべての銀行口座を確認し、それぞれの残高の合計金額を算出しましょう。自分の生活に必要な資金が足りているか再確認にもなります。あまりたくさんの口座を持っていると、管理は煩雑になりますし、相続手続きの負担にもなります。あまり使っていない口座や不要な口座は解約することをおすすめします。

口座を解約する前に、その口座に公共料金などの自動引き落としの設定がされていないかを必ず確認してください。もし設定されている場合は、解約前に、自動引き落とし先をほかの口座へ変更する手続きを済ませる必要があります。通帳が発行されないネット銀行の口座は相続時に見落とされやすいので、注意しましょう。口座情報や通帳、キャッシュカード、印鑑などの保管場所を決めておき、後述するエンディングノートに情報をまとめておくとなお良いです。

加入中の保険の確認・見直しをする

加入中の保険契約も確認して、整理しましょう。内容を改めて見返すことで、今のライフステージに合っていない保険の存在に気がつくかもしれません。もし不要な保険が見つかったら、早めに解約しましょう。また、自分の死後に必要な費用を考えて、新たな保険に加入する場合もあります。具体的には、次のような支出が想定されます。

  • 葬儀費用
  • 墓石代
  • 遺品整理費用
  • 家族の生活費  など

これらの出費は意外と大きな負担となることがあります。遺される家族のことを考えると、備えておいて損はありません。加えて、死亡保険金には相続税の非課税限度額があるので、相続税対策にもなります(計算方法はここでは割愛します)。

さらに、高齢になるにつれて医療費がかさむ傾向があるため、十分な貯蓄がない場合は医療保険への加入も視野に入れておきましょう。

貴金属や美術品などを鑑定または売却する

貴金属・美術品・コレクターズアイテム・自動車など、一定の価値をもつ品は相続財産の対象となります。こうした品々は、相続する人がその価値を知らないと、ゴミとして処分されてしまうことがあります。また、相続の際に財産評価の手間もあります。興味がない人にとっては、価値が分かりにくく、また相談先を探すのも一苦労です。あらかじめ専門家に鑑定を依頼して、相続人に分かるようにしておきたいところです。

これらの資産は市場の影響を受けやすく、価値が変動する可能性があります。相続の際に「価値」に対する相続人同士の認識がズレがあると、遺産分割時にもめる原因となることも考えられます。

ちゃんと終活として身の回りを整理しておくことも考えれば、売却して現金化することをおすすめします。現金であれば分割しやすく、相続人同士の話し合いもスムーズに進めやすくなります。大切な資産をめぐって家族間に争いが生まれないようしておきましょう。そもそも、このような品々の売却は素人には難しいこともあるので、売却しておくに越したことはありません。

デジタル遺産を整理する

デジタル形式で保管する財産(遺産)を意味します。暗号資産(仮想通貨)、電子マネー、クレジットカードのポイントやマイレージ、デジタルの著作物(著作権)、NFTアートが代表的なものです。これらは近年になって急速に多様化が進んでいる財産で、相続人が取り扱いに不慣れなことも多いです。ポイントやマイレージは使いきれるなら使いきり、現金化できるものは現金化しておいた方がよいです。残す場合は、エンディングノートなどに詳細を記載しておきましょう。

不動産を整理する

不動産は遺産分割しにくい財産の代表格です。複数人で分けにくいうえ、現金化に時間がかかります。それだけでなく、不動産は評価額が高いとそれに応じて相続税がかかりますが、相続税は現金一括納付が原則です。不動産の価値が高く、相続税が高額になった場合、相続財産に現金がないと相続人が相続税を払えないという事態がしばしば発生するのです。

多額の相続税が発生するような価値ある不動産なら、相続人にとってはまだましかもしれません。田舎で誰も使っていないような不動産は、相続人が誰も相続したがらず、押し付け合いでもめることも。不動産を財産として、引き継ぐことは皆さんが考えているより大変な事なのです。

もう一点注意が必要なのは、すでに亡くなっている先代名義のままになっている不動産です。不動産の相続登記には、相続人全員の同意が必要です。相続人が自分と兄弟だけなら話し合いは簡単でしょう。しかし、自分や兄弟が死亡した場合、その相続権は子世代が引き継ぎます。その後、子世代が名義変更しなければならなくなると、自分らの子ども全員での話し合いが必要となり、相続関係が複雑になります。それだけでなく、名義変更しないまま放置していることが発覚すると、最大で10万円の過料が発生する可能性があります(相続を知った日から三年以内)。

不動産の承継は、家族と話し合い、方針を決めることが重要です。不動産の終活での主な選択肢は以下のようなものがあります。

  • 売却:現金化して相続人同士で分けやすくしておく
  • 遺言:特定の相続人が引き継げるように遺言書を作成しておく
  • 生前贈与:生きているうちに希望する相手へ譲渡しておく
  • 不動産引取サービス:売れない不動産をお金を支払って、引き取ってもらう

それぞれにメリット・デメリットがあるため、家族の状況や今後のライフプランを踏まえて、慎重に検討することが大切です。

「財産目録」を作る

終活とは?保険イメージ

さて、終活として持ち物や財産の整理を実践すれば、自分が持つ財産について把握できるているはずです。把握した財産はすべて箇条書きで一覧にまとめましょう。これを「財産目録」と呼びます。終活で財産目録を作る目的は、相続人(親族など)が財産を相続する際に、財産を把握しやすくすることです。相続手続きで遺族が最初に困ることは故人に何の財産があって、どこに存在するか分からないことです。財産目録があれば、財産調査の手間も省けますし、遺族同士での遺産分割協議もやりやすくなりますし、相続税申告にも使えます。財産目録には決まった書式はありませんが、迷う場合は裁判所が公開している財産目録のテンプレートを使えばよいでしょう。

財産目録に記載する財産の例を挙げます。

  • 金融資産(現金・預貯金・有価証券・死亡保険金など)
  • 不動産(土地・建物・借地権や借家権)
  • 動産(自動車・貴金属・コレクターズアイテム・美術品など価値があるもの)
  • その他の財産(支給予定の退職金・ゴルフの会員権・貸付金など)

また、財産目録には、上記のようなプラスの財産だけでなく、マイナスの財産(住宅ローンなどの借入金・未払金など)も記載してください。

負債の金額と関連情報をまとめる

相続財産というと、預貯金や不動産などの「プラスの財産」を想像しがちですが、実は「負債(マイナスの財産)」も相続の対象です。プラスの財産を相続する場合は、マイナスの財産も相続しなければなりません。そのため、相続時は故人の負債の内容を把握することが極めて重要です。

もし負債額がプラスの財産を上回る場合、相続人は相続放棄を選ぶことが一般的です。しかし、相続人が負債の存在に気づかず、相続財産を使ってしまうと、法律上「単純承認」と見なされ、相続放棄ができなくなってしまう可能性があります。こうした事態を避けるためにも、負債の内容を明確にし、整理しておくことが大切です。

負債(マイナスの財産)には、次のようなものがあります。

  • 各種ローンの残高(住宅ローン、自動車ローンなど)
  • クレジットカードのリボ払い・分割払いの残額
  • 消費者金融からの借入金
  • 保証債務(連帯保証人になっている借金など)
  • 税金や公共料金、医療費などの未払い分

これらの負債について、金額のほか、契約書類や支払い状況、連絡先情報などを財産目録に記載しておくと、相続人にとってより分かりやすくなります。

預貯金口座とマイナンバーを紐づけておく

財産目録に銀行口座の詳細を記載しておくだけでも十分ですが、銀行口座情報とマイナンバーを紐づけておくこととなお良いでしょう。全口座を一度に把握できるようになるので、自分の死後に遺族が口座を管理しやすくなります。2025年4月1日から、始まった制度なのでまだ活用事例は少ないですが、遺族の負担軽減が期待できます。また災害時には、紐づけたすべての預貯金口座の所在を一つの金融機関の窓口で確認できたり、給付金の申請を簡略化できたりします。なお、マイナンバーと銀行口座の紐づけを行ったとしても、預貯金残高が国に把握されることはありません。マイナポータルや金融機関の窓口で手続きが可能です。

遺言を作成して財産を家族に引き継ぐ準備をする

財産目録を作成したなら、次に考えておきたいのが「遺言」です。遺言を作成しておけば財産の配分を指定できます遺言の内容は相続人全員で遺産をどのように分けるか話し合う遺産分割協議よりも優先されるため、遺産分割協議で財産をめぐって相続人同士が対立の予防になります。

ただし、遺言は自分の財産を誰にどれだけ残すかを記す法的な書面です。「遺書」や「エンディングノート」と異なり、民法の規定に沿って作成しないと遺言は無効になってしまうおそれがあります。

医療や介護の希望を伝えておく

「痛みを伴う治療は嫌」「寝たきりになったらもう人工呼吸器は要らない」「できるだけ長生きできるように治療をしてほしい」などと医療の希望は誰しもお持ちのはずです。しかしながら、急な病気や認知症などでうまく意思表示ができなくなることもあります。家族やかかりつけ医に医療の希望を伝えておくと、いざという時にスムーズに治療を進められます

特に延命治療の希望は忘れずに伝えておきましょう。老衰や疾病などで終末期を迎え、これ以上の病状の回復が見込めない場合、本人や家族は延命治療をするかどうかの選択を迫られます。終末期では意思表示ができないケースも多いので、家族やかかりつけ医と終末期に延命治療を施すか否かについても話し合っておくことが非常に重要です。

他にも身体機能や認知機能が低下して介護が必要になったらどのようなサービスを受けたいかを考えておくことも大切です。家族には「自宅で訪問介護を受けたい」「この施設に入りたい」といった介護の希望も伝えておきましょう。納得できるサービスを受けられるように介護保険制度や介護サービスのこと、入居を希望する施設を事前に調べておくと良いですね。

「事前指示書」を作成する

医療行為を実施する際は、原則本人の同意が必要です。すでに意識がもうろうとしていたり、認知機能が不十分であったりと十分に意思表示ができない場合もあります。そのような状況であっても本人同意が必要となり、家族や医師は同意が取れずに治療ができず困ってしまいます。「事前指示書」とは、意思表示ができなくなった時に医療行為に対する希望を意思表示するための文章のことです。日本では現在、事前指示書に法的な効力はありませんが、医療従事者や介護従事者は事前指示書の内容(本人の意思)を尊重して治療に関する方針を策定します。口頭で希望を伝えるだけではなく、書面で残しておくことも大切です。

葬儀や埋葬の希望を伝えておく

訃報を送ってほしい方から始まり、喪主や葬儀に参列してほしい方の希望、棺に入れたいものなど死後の希望も決めておきましょう。自分のエンディングを素敵に演出したい方は、葬儀に流したい曲を決めておくのもおすすめです。遺影の写真に関しても、事前に撮影しておけば遺族が迷うことはありません。先祖代々のお墓や菩提寺(代々お付き合いのあるお寺)がある場合は、霊園や寺院の所在地、連絡先、お墓を継承してほしい人を決めておきましょう。また最近では海洋散骨や樹木葬など、供養の選択肢も増えてきました。先祖代々のお墓に入らないという選択をとる場合、菩提寺に連絡しておかないと後々法外な離檀料の請求や改葬時に必要な証明書の発行拒否などトラブルに発展することもあるのでご注意ください。

「墓じまい」をする

墓じまいとは、先祖代々のお墓を撤去して墓地の使用権を管理者(寺院や霊園)に返すことです。お墓には跡継ぎが必要で、子供たちが遠方に住んでいる場合、お墓への移動にも時間やお金、労力がかかります。それ以外にも霊園や寺院への管理費(年間数千円〜数万円)の支払いも発生します。

終活で墓じまいをしておけば家族に負担をかけずに済みますし、「先祖代々のお墓を守らなければならない」という義務からも解放されますとはいえ他の親族は先祖代々のお墓を残してほしいと思っているかもしれませんので、一方的に墓じまいを進めるのではなく家族と一度話し合う機会を設けてください

現在のお墓の管理者にも相談し了承を得たら、改葬先や供養の方法を決めましょう。現在のお墓の管理者に埋葬の事実を証明してもらう「埋葬(埋蔵)証明書」改葬先のお墓の管理者による遺骨の受け入れを証明してもらう「受入証明書」をそろえ「改葬許可申請書」を役場に提出します。

あとは 遺骨の取り出しと墓石の解体・撤去を手配し、改葬を行い墓じまいは完了です。

エンディングノートを作成する

エンディングノートとは、葬儀や埋葬の希望などを記し、自分自身の希望する人生の終わり方について記入したノートです。エンディングノートは終活ノートと呼ばれることもあり、書店やネットショップで販売されています。ただし、遺言とは異なり、ノートに書かれた内容に法的な効力は一切ありません。相続や緊急時に、必要な情報を家族などに伝えるための手段とだけ考えてください。

エンディングノートの記載例

氏名 〇〇 〇〇
生年月日 1955年〇月〇日
本籍 〇〇県△△市〇〇一丁目1番地1
住所 □□県〇〇市〇〇町△△111番地

△△マンション111号室

血液型 △型

家族や友人

氏名 関係 住所 連絡先 入院等 死亡時
〇〇 〇〇 本人と同居 090-0000-0000 知らせる 知らせる
〇〇 △△ 〇〇市〇〇1-1-1 080-0000-0000 知らせない 知らせる
△△ □□ ××町〇〇123 090-1234-5678 知らせない 知らせない
×× ×× 友人 〇〇市〇〇区〇〇32 090-9012-3456 知らせる 知らせる

医療・介護

持病 高血圧・心臓病
かかりつけ医 〇〇内科(△△先生)
延命治療 望まない
介護の希望等 老人ホーム「〇〇」への入所を希望
その他 常備薬:〇〇、アレルギー:そば

エンディングノート(終活ノート)の書き方について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

覚えておくと安心。老後生活に役立つ各種契約

終活とは?契約のイメージ

終活の一貫として、老後生活の備えに使える各種制度や契約について学ぶことも大切です。事業者や親族とこれらの契約を結ぶことで、いざ自分に何かが起こったときに、サポートを受ける環境が整います。いずれの契約にも、認知能力が低下した後になると、締結することができなくなります。

任意後見制度

認知機能が低下すると、正常な判断できなくなり、相手に言われるがままに自分にとって不利な契約を結んでしまったり、お金を支払ってしまったりすることがあります。あまり考えたくはありませんが、自分の財産を詐欺などから守れなくなってしまう可能性があります。

「任意後見制度」とは判断能力の低下に備え、あらかじめ選んでおいた方(任意後見人)と公正証書で契約を結び(任意後見契約)、財産の管理と医療や介護などの契約手続きなど法律行為を委任する制度のことです。判断能力が低下した後に、任意後見人を頼まれた方や親族が家庭裁判所に申し立てることで任意後見が開始となります。

終活として、任意後見契約の利用を真剣に検討してみてはいかがでしょうか?ちなみに、任意後見人は親族を選ぶこともできますが、司法書士や行政書士などの国家資格者を選ぶこともできます。

財産管理委任契約

財産管理委任契約とは、信頼できる人に財産管理を任せる契約です。銀行の手続きや各種支払いなどを委任できます。体調不良や身体能力が衰えた際に有効な契約で、すぐに財産管理の支援を受けたい場合に適しています。任意後見制度と異なり、家庭裁判所の監督はありません。

財産管理委任契約のメリット

  • 委任する内容を自由に決められる
  • 判断能力があればすぐに利用できる
  • 何度も委任状を用意する必要がない

財産管理委任契約のデメリット

  • 契約の取消権がない
  • 代理人の監督機関がないため不正リスクがある
  • 公的制度に比べて社会的信用が低い

財産管理委任契約についてより詳しく知りたい人は、コチラの記事を参照してください。

見守り契約

見守り契約は、定期的な連絡や自宅への訪問を通じて自分の生活や健康状態を誰かに見守ってもらう契約です。多くの場合、この契約は将来的に任意後見契約を結ぶことを前提としており、見守りを行う相手がそのまま任意後見人になるケースが多いです。見守りを通じてその人の対応を実際に確認できるので、「この人に将来の任意後見人を任せて大丈夫かな?」という不安を解消できます。

民事信託(家族信託)

民事信託(家族信託)は、信頼できる家族や親族に財産の管理・処分を任せる制度です。高齢者の認知症対策や相続、事業承継の準備として活用されています。

この制度は、財産の所有者(委託者)が、管理を任せる相手(受託者)に財産の管理・運用を託し、その利益を受け取る人(受益者)を指定します。

民事信託のメリット

  • 判断能力が低下しても受託者が継続して財産管理できる
  • 財産の承継先や使途を柔軟に設定できる
  • 相続トラブルの防止につながる

死後事務委任契約

死後事務委任契約は、葬儀や納骨、遺品整理、行政手続きなど自分の死後に発生する事務や整理を生前に第三者に依頼する契約です。自分の死後を託せる身寄りがいない人や親族を頼りたくない人にとって、有効な手段です。自分の死後のための契約なので、終活の終着点ともいえるでしょう。死後事務委任契約について詳しくはコチラの記事を参照ください。

身元保証契約

施設入居や入院の際は基本的に身元保証人が必要です。身元保証人の役割は緊急時の連絡先にとどまらず、入院・入所、退院・退所時の手続の代行、 死亡または退去時の身柄の引取り、医療・介護施設の費用の支払いが滞った際は本人に代わって支払う連帯保証などがあり、気心の知れた家族・友人には頼みづらいでしょう。身元保証契約を外部業者などと契約することで、身元保証人を任せることができます。

高齢者等終身サポート

高齢者終身サポートとは、ここまで解説した、身元保証契約や任意後見契約、見守り契約、死後事務委任契約などを複合的に利用して、老後の暮らしに必要な支援を総合的に提供するサービスです。専門の事業者が、施設入居、認知症、死後事務などの老後の大きな問題を一括してサポートしてくれます。弊協会のサービスもこの高齢者等終身サポートに該当します。弊協会のサービスの詳細はコチラです。

終活にかかる費用の目安

では、各種終活にはどのぐらいの費用がかかるのでしょうか。あくまで参考程度ですが、各種終活にかかる費用の目安をまとめました。

終活の項目 費用の目安
エンディングノート作成

(相談・サポート)

自治体の相談窓口:無料

事業者:3回の相談で4万円や、1冊完成までのサポートで11万円など、事業者によりさまざま。

財産や資産に関する相談

(ファイナンシャルプランナーに依頼)

無料または1時間あたり5,000円〜1万円程度
所有物の生前整理

(代行業者に依頼)

所有物の量や部屋の間取りなどによって異なる。

1R〜1LDKで3万〜20万円程度

2LDK〜3LDKで12万〜50万円程度

墓じまい 離檀料(~20万円)

閉眼供養のお布施(3万~10万円)

お墓の撤去費用(1㎡あたり10万~15万円)

行政手続きに関する費用(数百円〜2,000円)

遺骨の新たな納骨先でかかる費用(納骨先によって数万円~350万円)

死後事務委任契約の締結

(専門家・民間事業者などに依頼)

90万〜95万円程度
任意後見契約の締結

(弁護士・司法書士に依頼)

月額3万円~6万円
民事信託の締結

(弁護士・司法書士に依頼)

信託財産評価額の1%以上~(数十万円~数百万円)
遺言書の作成

(弁護士・司法書士・行政書士に依頼)

10万〜30万円程度
デジタル終活 パスワードやIDの調査(1万5,000円程度)

スマートフォンのパスワード解除(2万円程度)

パソコンのフォーマット(2万円程度)

終活はいつから始める?終活の適切なタイミングとは

終活を開始するのは65歳頃からが多いようです。65歳頃になると心や身体に変化が現れることや、生活状況が変化することが影響していると考えられます。自身や家族が体調を崩したり、家族や友人が亡くなったりしたタイミングのほか、定年退職、子どもが独立したタイミングなど、各種ライフイベントが起こるときに終活を始めるきっかけとなりやすいです。

ただ、「65歳が適切なタイミング」というわけではありません。終活に老後資金の準備や老後の住居のことまで含めて考えるなら、収入がある現役のうちに考えなければなりません。また、ここまでの解説の通り、終活は本当にやることが多くあり、家族・親族との人間関係もからんできます。そのため、忍耐力や判断力に加えて体力も必要なので、いつが良いかと問われると、一歳でも若い時と回答せざるをえません。心身が元気であっても、認知症を発症して判断能力が低下するおそれもあるからです。

このようなことを考えると、終活は先延ばしにせず、なるべく早く少しづつでも始める方が得策といえます。もし今60代以上なら上記で紹介した終活には今この瞬間から終活に着手すべきでしょう。

終活を始めるタイミングの考え方はコチラの記事でも詳しく解説しています。ここからは各年代での終活について解説したいと思います。

20代

20代で終活は、必要性は低いです。しかし、病気にかかる可能性はありますし、不慮の事故にあってしまう確率もゼロではありません。いつか死ぬことを思って終活を進めておけば、今という時間の大切さを再認識できるかもしれません。まずは終活に関心を持ったならコチラの記事を読んでみると良いです。

30代

30代になると配偶者がいる方も多いでしょう。30代での終活となると、保険の見直しが中心になるのではないでしょうか?生命保険も終活の一つです。万が一に備えてエンディングノートの作成なども検討してもよいかもしれません。詳しくは、コチの記事をお読みください。

40代

2022年7月29日に厚生労働省が発表したデータによると、男性の平均寿命は81.47年で、女性の平均寿命は87.57年です。つまり平均寿命の半分にあたる40代は、男女ともに人生の折り返し地点となります。40代で終活を考え始めれば、かなり余裕をもった計画が立てることができます。40代からの終活についての記事はコチラ。

50代

60代を過ぎてくると3大疾病や生活習慣病などの病気による死亡率が高くなってきます。50代の終活は少しだけ駆け足で進める必要があるかもしれません。しかし、まだ十分間に合います。コチラで解説しています。

老後資金を計算して準備する

前述したように、終活をはじめるタイミングは、老後の生活資金が足りているかどうかも、大切なポイントです。自分に必要となるであろう老後資金を一度計算してみましょう。少し前に話題となった「老後2,000万円問題」で不安に駆り立てられたという方もいると思います。これは、金融庁が高齢無職世帯が年金のみを頼りに生活すると、毎月約5.4万円が不足するという試算を報告したことに端を発しています。毎月の不足金額の約5.4万円を12ヶ月で乗じて年額(約64.8万円)を出し、老後30年生きると仮定すると約2,000万円が不足するため、老後2,000万円問題と呼ばれています。※老後:公的年金がもらえるようになる65歳からとする

この不足額(約5.4万円)は2017年の「家計調査年報(家計収支編)」における実支出約26.3万円から実収入約20.9万円を差し引いて算出された金額ですが、家計調査年報の数値は毎年変動します。

2020年のデータに基づくと老後に不足するのは55万円、2021年のデータに基づくと800万円などと試算され、その年によって算出される不足額が異なります。

もし2020年に取り挙げられていたら「老後55万円問題」などと話題になったかもしれませんね。必ずしも老後に2,000万円が不足するというわけではありません。

それに実際に不足する金額は、老後の生活水準をどうするのか、それに伴いどの程度支出が予想されるか、世帯人数は何人か、何歳まで現役で働くのか、年金はいくら受け取れるのか、退職時に貯金はいくらなのかなどで異なります。

つまり、個々人のケースに合わせて計算しなおす必要があるのです。一度自分の老後に置き換えて「(毎月の支出-毎月の収入)×老後30年」でいくら不足するか計算してみましょう。

計画的に老後資金を積み立てること以外にも、老後の収入を増やしたり、支出を減らしたりすることも大切です。

  • NISAやiDeCoを活用して老後資金を調達する
  • リバースモーゲージにより所有する不動産を担保に入れて融資を受けることで老後資金を調達する。死後、相続人が担保に入れた不動産の売却などによって返済をする
  • 不要な不動産や有価証券などの財産があれば現金化して老後資金に充てる
  • 退職時期の延長や退職後の再雇用によって収入を増やす
  • 支出を抑えるために物価の安い地域へ移住する
  • 働く期間をのばして、年金の受給を繰り下げる(年金額が増額する)

預金や不動産などの財産を整理しておけば、手続きで関係各種書類の提出が必要になっても慌てません。

早めに終活を始めるメリットとは

終活はできるだけ早く始めることが大切です。ここから、早めに終活を始める主なメリットを紹介していきます。

メリット1:気力・体力がある

あたり前ですが、若いほど気力や体力があります。終活を進めていくうえでは、不動産を処分したり、財産分与を定めたりなど、手間や判断力が要求される手続きが出てきます。年を重ねてからだと、思うように進められないかもしれません。年齢が上がれば上がるほど認知症のリスクも高まります。少しでも若く、気力や体力があるというのは大きなメリットです。

メリット2:余裕のあるセカンドライフを送りやすい

早くから終活を行うと、将来の生活を前もって準備でき、余裕を持ってセカンドライフを迎えられるというメリットがあります。入居したい老人ホームを早い段階で探しておけば、家族にも希望を伝えられて安心できるでしょう。入居するタイミングについても計画しておくと、それまでやそれからの人生設計も立てやすくなります。

メリット3:親の終活をサポートしながら、自分の終活を考えられる

親が健在なうちから自分の終活を考えると、自分が希望する介護や看取りについてよりリアルに考えられます。実際に親の終活や介護・看取りなどを経験していく中で、自分自身の将来に置き換えやすいでしょう。

その段階では自分自身の終活をまだ具体的に進めないとしても、自分ならどうしてもらいたいかなどを考えながら親と付き合っていくと、親をしっかりサポートできるとともに、家族とのつながりが強くなるケースもあります。

終活の開始が遅れた場合のデメリット

ここまでお読みいただいて分かるとおり、終活には時間がかかります。終活の開始が遅れると行動に費やせる時間やお金が減ってしまい、選択肢がどんどん狭まっていきます。加齢と共に、体調を崩すリスクは高まるので、終活自体ができなくなる可能性も高まります。もしもときに備えておくことが終活ですから、そうなってしまえば元も子もありません。

終活をするなら早めに始めましょう。

終活の進め方が分からないときの相談先・アドバイザー

終活アドバイザーイメージ

終活には、財産の整理や医療・介護の希望、葬儀やお墓の準備など、実にさまざまな項目が含まれるため、「何から始めたら良いのか分からない」という方も少なくありません。そんなときは、専門家に相談してアドバイスをもらうのがおすすめです。

相談内容に応じた相談先の例は、以下の通りです。

相談内容 相談先の例
終活全体 終活カウンセラー

終活アドバイザー

自治体の相談窓口

エンディングノートの作成方法 終活カウンセラー

終活アドバイザー

自治体の相談窓口

財産や資産の整理・管理 税理士

弁護士

司法書士

金融機関

ファイナンシャルプランナー

所有物の生前整理 生前整理の代行業者
医療や看護 自治体の福祉課や介護保健課

地域包括支援センター

高齢者等終身サポート事業者

葬儀やお墓 葬祭業者や互助会

寺院・霊園

石材店

仏壇店

高齢者等終身サポート事業者

死後の事務手続き 弁護士

司法書士

行政書士

高齢者等終身サポート事業者

生前対策 弁護士

司法書士

行政書士

税理士

デジタル終活 民間事業者

生前整理の事業者

ターミナルケア ターミナルケアを実施している病院や介護施設

また、身元保証や死後事務委任といった終活サービスを検討する場合は、安心して任せられる事業者を選ぶことも大切です。政府からは「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」が発表されており、このガイドラインを遵守しているかどうかが、信頼できるかの一つの判断基準になります。

これらのサービスを提供する全国シルバーライフ保証協会は、ガイドラインを遵守してサービスを提供しています。信頼できる事業者に相談をしたい方は、ぜひ全国シルバーライフ保証協会にお問い合わせください。

まとめ 終活はセカンドライフを豊かにする!自分が入りたい老人ホームなどを探しておこう

終活は決してマイナス思考のものではなく、残りの人生と死後の希望を明確にする前向きなものです。

一般社団法人全国シルバーライフ保証協会は司法書士や行政書士等の士業法人で構成されるベストファームグループの一員です。

高齢者施設入居時の身元保証の他、エンディング時の財産管理、各種事務手続き、葬儀などの複合的な問題(死後事務)をワンストップでサービス提供する、終活のパートナーです。

まずはお気軽にご相談ください。

終活の相談はどこにする?お悩み別の相談窓口や費用相場を解説

死後事務委任契約施設入居の身元保証

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水久保 博正行政書士|ベストファーム行政書士法人 社員行政書士

水久保 博正行政書士|ベストファーム行政書士法人 社員行政書士

法律事務所勤務を経て、2015年ベストファーム入社、相続・遺言の面談を担当し、現在は、東京シルバーライフ協会の身元引受契約者の生前・死後の委任契約と任意後見契約公正証書、遺言公正証書の作成支援を担当。

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